火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第82号
令和2年8月6日16時45分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、昨日(5日)02時頃から火山性地震が増加しています
。
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、昨日(5日)02時頃から火山性地震が増加し、現在も
多い状態が続いています。昨日の地震回数は225回でした。火山性地震の
日回数が200回を超えたのは3月27日(330回)以来です。本日(6
日)は16時までに117回発生しています。震源は新岳火口付近の浅い所
と推定され、噴火の可能性が高まっていると考えられます。
 
 新岳火口の噴煙の状況に変化は無く、本日は15時までに、白色の噴煙が
最高で火口縁上300mまで上がりました。
 
 本日実施した現地調査では、引き続き、新岳火口西側割れ目付近の地熱域
を確認しました。

 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、やや多い状態で経過し
ています。
 
 GNSS連続観測では、島内の基線において、2019年10月頃からわ
ずかな伸びがみられ、1月頃から明瞭な伸びとなっています。このことから
、地下ではマグマが蓄積されつつあると推定され、その蓄積量は2015年
噴火発生前の状態に匹敵します。
 
 2019年10月以降の火山活動は、2018年から2019年の火山活
動と同程度以上で推移しており、2014年から2015年に匹敵する火山
活動に発展する可能性も考えられます。今後の火山情報に注意してください
。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、7日(金)16時頃に発表の予定で
す。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。