火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第76号 令和2年7月24日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 口永良部島では、地下でマグマが蓄積されつつあると推定されます。 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大 きな噴石及び火砕流に警戒してください。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 新岳火口では20日以降、白色の噴煙が最高で火口縁上400mまで上が りました。 20日に実施した現地観測では、引き続き、新岳火口西側割れ目付近の地 熱域を確認しました。 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、20日と21日はやや 減少していましたが、22日の観測では700トンと多い状態でした。 火山性地震は少ない状態で経過しています。 GNSS連続観測では、島内の基線において、2019年10月頃からわ ずかな伸びがみられ、1月頃から明瞭な伸びとなっています。このことから 、地下ではマグマが蓄積されつつあると推定され、その蓄積量は2015年 噴火発生前の状態に匹敵します。 2019年10月以降の火山活動は、2018年から2019年の火山活 動と同程度以上で推移しており、2014年から2015年に匹敵する火山 活動に発展する可能性も考えられます。 7月20日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸化 硫黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。なお、これらの値は速報 値であり、精査の結果、後日変更することがあります。 火山性地震 火山性微動 火山ガス (二酸化硫黄) 7月20日 4回 0回 300 21日 0回 0回 400 22日 0回 0回 700 23日 2回 0回 - 24日15時まで 0回 0回 - 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、東京大学大学院理学系研究科、京都 大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測によるものです。天候不良や観 測条件が悪いなど観測値が得られなかった日は「-」としています。 2.防災上の警戒事項等 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大 きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西 にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量 が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。 次の火山の状況に関する解説情報は、27日(月)16時頃に発表の予定 です。 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。