火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第64号
令和2年6月12日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、地下でのマグマの蓄積が続いていると推定されます。
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では5月14日以降、噴火は観測されていません。新岳火口で
は8日以降、白色の噴煙が最高で火口縁上700mまで上がりました。また
、9日夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 10日に実施した現地調査では、引き続き、新岳火口西側割れ目付近の地
熱域を確認しました。

 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、8日は1200トン、
11日は1300トンと多い状態で経過しています。
 
 火山性地震は概ね少ない状態で経過しています。
 
 GNSS連続観測では、島内の基線において、2019年10月頃からわ
ずかな伸びがみられ、1月頃から明瞭な伸びとなっています。このことから
、地下でのマグマの蓄積が続いていると推定されます。
 
 口永良部島では、今後噴火活動がさらに活発化し、2014年から201
5年に匹敵する活動に発展する可能性も考えられます。今後の火山情報に注
意してください。
 
 6月8日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸化硫
黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。なお、これらの値は速報値
であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震 火山性微動  火山ガス
                      (二酸化硫黄)
 6月 8日        3回    0回  1200トン
    9日        0回    0回    -
   10日        1回    0回    -
   11日        6回    0回  1300トン
   12日15時まで   3回    0回    -
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、東京大学大学院理学系研究科、京都
大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測によるものです。天候不良や観
測条件が悪いなど観測値が得られなかった日は「-」としています。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、15日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。