火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第143号
平成30年12月31日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、今後も噴火の可能性がありますので、新岳火口から概ね
2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流
に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新岳火口では、28日22時09分に噴火が発生し、本村東観測点で16
Pa(18日の噴火では29Pa)の空振を観測しました。噴煙は火口縁上
1000mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から500
mまで達しましたが、火砕流は観測されませんでした。ごく小規模な噴火が
29日02時20分頃まで継続しましたが、その後は白色の噴煙が300m
以下で推移しています。

 噴火に伴って火山性微動が発生し、火山性地震が増加しました。噴火停止
後、火山性地震は減少しましたが、概ね多い状態で経過しています。また、
火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ねやや多い状態で経過しており、今後
も噴火が発生する可能性があります。

 28日から29日にかけて現地調査を実施しました。29日に屋久島の一
部で降灰を確認しました。新岳火口周辺の熱異常域に特段の変化は認められ
ませんでした。

 GNSS連続観測では、島内の長い基線では緩やかな伸びがみられていま
したが、11月以降、鈍化もしくは停滞したと考えられます。
 
 12月25日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と東京大学大学院
理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測による火山
ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。いずれも速
報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。

            火山性地震 火山性微動 火山ガス
                        (二酸化硫黄)
 12月25日       10回    0回  100トン
    26日       11回    0回  300トン
    27日       13回    0回    -
    28日       91回    4回    -
    29日       66回    0回  500トン
    30日       12回    0回  400トン
    31日15時まで   3回    0回   調査中 
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、天候不良や観測条件が悪いなど観測
値が得られなかった日は「-」としています。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、平成31年1月2日(水)16時頃
に発表の予定です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。