火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第112号
平成30年10月30日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、ごく小規模な噴火が続いています。新岳火口から概ね2
kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に
警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、10月21日からごく小規模な噴火が断続的に発生して
います。本日(30日)の噴煙の高さは、最高で火口縁上900mでした。
火映は、昨日(29日)夜に観測されました。

 本日、東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び
気象庁が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あた
り1300トン(前回10月29日、600トン)と多い状態で経過してい
ます。

 火山性地震や火山性微動は、一連の噴火に伴って発生しています。これら
の震源は、新岳火口付近のごく浅い場所と推定されます。

 GNSS連続観測では、島内の基線で2016年1月頃から緩やかな縮み
傾向がみられていましたが、2018年7月頃から停滞しています。

 10月24日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸
化硫黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。いずれも速報値であり
、精査の結果、後日変更することがあります。

            火山性地震 火山性微動 火山ガス
                        (二酸化硫黄)
 10月24日       43回    3回  700トン
    25日       36回    2回   -
    26日       42回    5回   -
    27日       34回    6回   -
    28日       27回    5回  800トン
    29日       29回    2回  600トン  
    30日15時まで  19回    3回 1300トン

 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、天候不良や観測条件が悪いなど観測
値が得られなかった日は「-」としています。

 口永良部島では、引き続き火山活動が高まった状態となっていますので、
新岳火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性があります。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、31日(水)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。