火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第106号 平成30年10月24日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 口永良部島では、ごく小規模な噴火が続いています。新岳火口から概ね2 kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に 警戒してください。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 口永良部島では、10月21日からごく小規模な噴火が断続的に発生して います。22日15時19分にはごく小規模な噴火が発生し、本日(24日 )15時現在も継続しています。本日、噴煙の高さは最高で火口縁上600 mまで上がりました。 本日、東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び 気象庁が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あた り700トン(前回10月22日、500トン)と多い状態で経過していま す。 本日実施した現地調査では、噴煙や熱異常域の状況に特段の変化は認めら れませんでした。 新岳火口のごく浅い場所を震源とする火山性地震は、多い状態で経過し、 火山性微動は、22日及び本日にそれぞれ1回発生しました。これらは、噴 火に伴って発生しているものと考えられます。 19日未明に、高感度の監視カメラで微弱な火映を観測しましたが、それ 以降は観測されていません。 GNSS連続観測では、島内の基線で2016年1月頃から緩やかな縮み 傾向がみられていましたが、2018年7月頃から停滞しています。 10月21日からの火山性地震の発生回数及び火山ガス(二酸化硫黄)の 1日あたりの放出量は以下のとおりです。なお、地震回数及び火山ガス(二 酸化硫黄)の放出量は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあり ます。 火山性地震 火山ガス(二酸化硫黄) 10月21日 35回 - 22日 22回 500トン 23日 22回 - 24日15時まで 25回 700トン 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、天候不良や観測条件が悪いなど観測 値が得られなかった日は「-」としています。 口永良部島では、8月以降、新岳火口付近のごく浅い場所を震源とする火 山性地震が増減を繰り返し、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が増加するな ど、引き続き火山活動が高まった状態となっていますので、新岳火口から概 ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性があります。 2.防災上の警戒事項等 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大 きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西 にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお それがあるため注意してください。 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。 次の火山の状況に関する解説情報は、25日(木)16時頃に発表の予定 です。 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。