火山名 霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) 火山の状況に関する解説情
報 第56号
平成30年6月22日16時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>
 6月18日から6月22日15時までの硫黄山の活動状況をお知らせしま
す。
 硫黄山では活発な火山活動が続いています。
 えびの高原の硫黄山から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて
飛散する大きな噴石に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 硫黄山では、4月27日以降、噴火は観測されていません。
 硫黄山の南側の火孔からは、白色の噴煙が最高で200mまで上がるなど
、活発な噴気活動が続いています。

 硫黄山南監視カメラで確認していた硫黄山の南側の湯だまりは、11日に
縮小しましたが、19日に再び拡大しました。本日(22日)に実施した現
地調査では、硫黄山周辺の沢水に濁りは認められませんでした。

 19日に振幅の小さな継続時間の短い火山性微動が発生しました。火山性
地震は、概ね少ない状態で経過しています。浅い所を震源とする低周波地震
が時々発生しました。

 硫黄山近傍のGNSS連続観測の基線では、4月19日の噴火後に山体の
収縮を示す変動がみられ、5月上旬からその変動は停滞していましたが、6
月上旬から再び伸びの傾向がみられます。

 18日に実施した現地調査では、赤外熱映像装置による観測で硫黄山及び
その西側周辺で引き続き熱異常域を確認しました。
 
 6月18日からの火山性地震(ごく微小な地震を含む)、火山性微動の回
数は以下のとおりです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更
することがあります。
 
           火山性地震       火山性微動
  6月18日       8回 ( 6回)    0回
    19日       6回 ( 2回)    1回
    20日       4回 ( 2回)    0回
    21日      11回 ( 6回)    0回
    22日15時まで  5回 ( 3回)    0回
                 ()内はごく微小な地震
 
 広域のGNSS連続観測では、3月中旬以降、霧島山の深い場所でのマグ
マの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていましたが、5月上旬か
ら一部の基線でその伸びは鈍化しています。
 
 硫黄山では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 えびの高原の硫黄山から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて
飛散する大きな噴石に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、25日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。