火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第83号
平成30年6月4日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 6月1日から6月4日15時までの新燃岳の活動状況をお知らせします。
 新燃岳では活発な火山活動が続いています。
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石、及び新燃岳火口から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してく
ださい。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、活発な火山活動が続いています。
 白色の噴煙が概ね火口縁上100m以下で経過し、最高で500mまで上
がりました。
 
 1日に新湯温泉付近から実施した現地調査では、火口西側斜面の割れ目付
近で、引き続き噴気と弱い熱異常域を確認しました。また、火山ガス(二酸
化硫黄)の放出量は1日あたり80トン(前回4月11日、600トン)と
減少しました。
 
 火山性地震は概ねやや多い状態で経過しています。浅い所を震源とする低
周波地震も時々発生しています。火山性微動は観測されていません。
 
 6月1日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。なお
、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動
  6月 1日       9回    0回
     2日       6回    0回
     3日      20回    0回
     4日15時まで 10回    0回
 
 GNSS連続観測では、霧島山を挟む基線で、3月中旬以降、霧島山の深
い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていました
が、5月上旬から一部の基線でその伸びは鈍化しています。
 
 新燃岳では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ
るなどのおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体
等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、8日(金)16時頃に発表の予定で
す。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。