火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第39号 平成30年3月13日11時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 本日(13日)、火山噴火予知連絡会において霧島山(新燃岳)の火山活 動に関する見解を取りまとめました。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する火山噴火予知連絡会見解 3月1日に噴火が開始した新燃岳では、6日には溶岩が火口内に噴出を開 始し、9日までに火口を満たした溶岩が、北西側火口縁を越えて外側斜面を わずかに下っています。溶岩の噴出は9日頃には概ね停止したとみられ、そ の量は約1400万立方メートルと推定されます。また、9日からは爆発的 噴火が活発になり、大きな噴石の火口から約2kmまでの飛散や、大きな空 振が観測されています。火山灰中には、4日以降は発泡した軽石粒子が次第 に増加しました。マグマの化学組成は2011年噴火とほぼ同じです。 GNSSでは昨年7月頃から霧島山を挟む基線の伸びが続き、主に北西深 部のマグマだまりの膨張を示すと推定されていましたが、3月6日から8日 の溶岩の噴出時期に同マグマだまり付近の収縮と考えられる縮みが観測され ました。また周辺の傾斜計及びひずみ計でも関連する変化が観測され、次第 に鈍化して8日頃にほぼ停滞しています。これらの変化は深部のマグマだま りから新燃岳火口へのマグマの動きを反映していると推定されます。 火山性地震は3月1日以降は多い状態で、6日から10日にかけては低周 波地震の活動が活発でした。火山性微動は3月1日から8日まで概ね連続し て発生し、9日以降は断続的になり振幅は減少しています。火山ガス(二酸 化硫黄)の1日あたり放出量は、7日には34000トンと急増し、その後 は1000トン前後に減少しました。 3月9日以降の噴火活動は、溶岩内部で火山ガスによる圧力が高まって爆 発的噴火を起こしていると推定され、2011年2月以降の活動と類似して います。当面は爆発的噴火活動が継続すると考えられ、大きな噴石の飛散や 、空振が発生する可能性があります。火口縁を越えた溶岩が斜面下部まで達 したり、その崩壊による火砕流が居住地域まで達する可能性は低いと考えら れます。 深部のマグマ溜まりから新燃岳火口へのマグマの動きに注意し、火山活動 の推移を引き続き慎重に監視する必要があります。 2.防災上の警戒事項等 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね4kmまで、火砕流が概 ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね4kmの範 囲では警戒してください。 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流されて降る おそれがあるため注意してください。 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振による窓ガラスの破損の 可能性がありますので注意してください。 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が、非常に多い状態となることもあり、 風下側では流下する火山ガスに注意するとともに、地元自治体等が発表する 火山ガスの情報にも留意してください。 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり ますので留意してください。