火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第37号
平成30年3月11日16時30分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 新燃岳では、活発な噴火活動が続いています。新燃岳火口から概ね4km
の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石、及び新燃岳火口
から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、昨日(10日)から本日(11日)にかけても、大きな噴石
を飛散させる噴火が、断続的に発生しました。
 昨日16時以降は、18時11分の爆発的噴火で、弾道を描いて飛散する
大きな噴石が火口の中心から1600mまで飛散しました。噴煙は最高で火
口縁上2800mまで上がりました。
 
 本日、宮崎県の協力により実施した上空からの観測では、新燃岳の火口内
は溶岩で覆われ、縁辺部から白色の噴煙が100m程度上がっているのを確
認しました。また、火口の北西側から幅約200mにわたって溶岩が流下し
ているのを確認しました。赤外熱映像装置による観測では、火口の北西側で
溶岩の流下により、わずかに熱異常域が拡大しているのを確認しました。
 本日09時頃に霧島市牧園町から実施した地形の観測では、火口の北西側
へ流出した溶岩が、昨日10時頃の観測と比較して、約10m流下している
のを確認しました。
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり800トンと昨日(10日
、900トン)と同程度でした。
 
 高千穂河原観測点の傾斜計では、9日18時頃から新燃岳方向がわずかに
隆起する傾斜変動がみられています。また、噴火の前後で、山体がわずかに
隆起沈降する変動が観測されています。

 火山性地震は多い状態が続いています。また、浅い所を震源とする低周波
地震も多い状態が続いています。
 火山性微動は断続的に発生しています。
 
 3月7日からの火山性地震、火山性微動、爆発的噴火の回数は以下のとお
りです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあり
ます。
 
              火山性地震  火山性微動  爆発的噴火
  3月 7日        799回     継続    16回
     8日        221回     3回     0回
     9日        225回    13回     1回
    10日        334回    20回     5回
    11日15時まで   116回     2回     2回
 
 新燃岳では、活発な火山活動が継続していることから、今後の火山情報に
注意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね4kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね4kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流されて降る
おそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振による窓ガラスの破損の
可能性がありますので注意してください。
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が、非常に多い状態となることもあり、
風下側では流下する火山ガスに注意するとともに、地元自治体等が発表する
火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、12日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。