火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第35号
平成30年3月9日18時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 新燃岳では、活発な噴火活動が続いています。新燃岳火口から概ね3km
の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石、及び新燃岳火口
から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、本日(9日)15時58分に爆発的噴火が発生し、灰白色の
噴煙が火口縁上3200mまで上がりました。この噴火に伴い、弾道を描い
て飛散する大きな噴石が火口の中心から800mまで飛散しました。また、
鹿児島県及び宮崎県の一部では、窓ガラスが揺れるなどの空振がありました
。

 3月1日11時頃から継続していた火山灰を噴出する噴火は、本日01時
45分頃に停止しましたが、13時05分以降、時々発生しています。

 本日10時10分頃に火口の北西側へ流出する溶岩を確認しました。その
後も溶岩の流出が継続しています。
 
 本日、鹿児島県の協力により実施した上空からの観測では、新燃岳の火口
内は溶岩で覆われ、北西側から溶岩がわずかに流出していることを確認しま
した。また、火口内及び流出した溶岩から白色の噴煙が上がり、南へ流れて
いました。
 
 本日、実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あ
たり1100トン(前回3月7日、34000トン)と減少しましたが、引
き続き多い状態です。
 
 火山性地震は多い状態が続いています。また、浅い所を震源とする低周波
地震も多い状態が続いています。
 火山性微動は3月1日から8日15時36分まで継続しました。その後、
振幅の小さな微動が断続的に発生しています。
 
 3月5日からの火山性地震、火山性微動、爆発的噴火の回数は以下のとお
りです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあり
ます。
 
              火山性地震  火山性微動  爆発的噴火
  3月 5日        151回     継続     0回
     6日        517回     継続    18回
     7日        799回     継続    16回
     8日        221回     3回     0回
     9日16時まで   105回     4回     1回
 
 新燃岳では、活発な火山活動が継続していることから、今後の火山情報に
注意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流されて降る
おそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振による窓ガラスの破損の
可能性がありますので注意してください。
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が、非常に多い状態となることもあり、
風下側では流下する火山ガスに注意するとともに、地元自治体等が発表する
火山ガスの情報にも留意してください。
 また、降灰が続いていることから降雨時の土石流にも注意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、10日(土)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。