火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第21号
平成30年3月1日17時45分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 新燃岳では、低周波地震が増加し火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も急増
しています。今後、更に活動が活発化する可能性があります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、本日(1日)11時頃にごく小規模な噴火を確認し、17時
30分現在も継続しているもようです。噴煙などの状況は天候不良のため不
明です。
 
 新燃岳では、本日08時頃から浅い場所を震源とする低周波地震が増加し
ています。また、火山性微動は本日08時15分頃から継続して発生してい
ます。
 
 本日実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が1日あた
り5500トン(前回2月2日、90トン)と急増しました。火山ガスの放
出量が急増したのは、2017年10月の噴火以来です。また、宮崎県高原
町付近では16時15分に降灰を確認しています。
 
 本日、九州地方整備局の協力により実施した上空からの観測では、17時
07分に噴火が継続していることを確認しました。

 GNSS連続観測では、2017年7月頃から霧島山を挟む基線の伸びが
継続しています。このことから、霧島山の深い場所でマグマの蓄積が続いて
いると考えられます。
 
 これらのことから、新燃岳では活動が更に活発化する可能性があると判断
し、本日16時40分、火口周辺警報(噴火警戒レベル3)を発表し、警戒
する範囲を概ね2kmから概ね3kmへ拡大しました。

 3月1日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。なお
、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
                  火山性地震    火山性微動
  3月1日10時まで         73回       2回
    1日10時から12時まで    33回       継続
    1日12時から16時まで    26回       継続

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流されて降る
おそれがあるため注意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスの破損や降雨時の土石流に
も注意してください。

 火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。