火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第50号
平成29年12月8日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 12月4日から12月8日15時までの霧島山(新燃岳)の活動状況をお
知らせします。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、火山活動がやや高まった状態が続いています。
 
 新燃岳火口付近を震源とする火山性地震は、1日以降増加し、2日に20
1回発生した後、4日までやや多い状態でした。振幅の大きな火山性地震も
時々発生しています。また、浅い場所を震源とする低周波地震も、引き続き
、時々観測されています。
 火山性微動は、観測されていません。
 
 5日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あ
たり100トン(前回11月27日、100トン)と引き続き10月23日
以降の放出量と同程度でした。また、新燃岳西側斜面の割れ目付近及び割れ
目下方の噴気の状態や熱異常域の分布は、前回(11月10日)と比べて特
段の変化は認められませんでした。
 
 監視カメラによる観測では、白色の噴煙が火口縁上概ね100m以下で経
過し、最高は200mまで上がりました。
 
 12月4日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。な
お、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
               火山性地震    火山性微動
  12月 4日         53回       0回
      5日         22回       0回
      6日         19回       0回
      7日         12回       0回
      8日15時まで     3回       0回
 
 地殻変動観測では、新燃岳の明瞭な山体膨張を示す傾斜変動は認められま
せん。GNSS連続観測では、7月頃からみられていた霧島山を挟む基線で
の伸びが一時停滞していましたが、10月末以降、再び伸びがみられます。
このことから、霧島山の深い場所でマグマが蓄積されていると考えられます
ので、火山活動に注意が必要です。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね2kmまで、火砕流が概
ね1kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね2kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 また、爆発的噴火に伴う大きな空振による窓ガラスの破損や降雨時の土石
流にも注意してください。
 地元自治体等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 

 次の火山の状況に関する解説情報は、11日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。