火山名 阿蘇山 火山の状況に関する解説情報 第84号 平成28年10月11日16時00分 福岡管区気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 10月7日から10月11日15時までの阿蘇山の活動状況をお知らせしま す。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 中岳第一火口では、7日21時52分に噴火が発生し、8日01時46分 には爆発的噴火が発生しました。衛星による観測では、8日の爆発的噴火で 海抜高度11000mの噴煙が解析されました。遠望観測ではこれらの噴火 の噴煙は天候不良のため観測できませんでした。7日以降の遠望観測では、 7日14時09分に白色の噴煙が最高で火口縁上1100mまで上がりまし た。 火山性微動の振幅は7日10時頃から大きい状態となっていましたが、8 日13時頃からやや小さい状態となっています。孤立型微動はやや多い状態 で経過していましたが、噴火後は少ない状態となっています。火山性地震は 、概ね多い状態で経過しました。 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、9日に実施した現地調査では、風が 弱くカルデラ内にガスが滞留したため正確な値は求められませんでしたが、 1日当たりの放出量は1000トン未満と推定されます。また、本日(11 日)実施した現地調査では600トン(速報値)とやや多い状態ですが、噴 火後の火山ガスの放出量は噴火前の7日の15000トンに比べ減少してい ます。 産業技術総合研究所及び防災科学技術研究所が8日の爆発的噴火の噴出物 を分析した結果、1割程度の比較的新鮮なマグマ性の物質を含んでおり、マ グマ水蒸気噴火であった可能性があります。 傾斜計では、爆発的噴火後に火山活動に伴う特段の変化は認められていま せん。 GNSS連続観測では、草千里を挟む基線で、2016年7月頃からわず かな伸びの傾向が認められており、深部のマグマだまりの膨張の可能性が考 えられます。 阿蘇山の火山活動は活発な状態となっており、今後も8日の爆発的噴火と 同程度の噴火が発生する可能性があります。 2.防災上の警戒事項等 中岳第一火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散す る大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では、火山灰だけでな く、風の影響を受ける小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意して ください。また、火山ガスに注意してください。 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(金)16時頃に発表の予定 です。 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。 <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>