火山名  口永良部島  火山の状況に関する解説情報  第7号
平成26年8月8日14時40分  福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況
火山噴火予知連絡会拡大幹事会見解
 本日(8日)、火山噴火予知連絡会拡大幹事会が開催され、口永良部島の
火山活動について検討を行い、結果を以下のとおり取りまとめました。

 口永良部島の火山活動に関する検討結果

 口永良部島では、8月3日12時24分頃に噴火が発生し、約6分30秒
間継続しました。この噴火にはマグマが関与したと考えられます。その後も
火山活動が高まった状態となっており、今後も噴火が発生し、火砕流を伴う
可能性があります。

 口永良部島の新岳では、8月3日12時24分頃に噴火が発生しました。
灰色の噴煙が火口縁上800メートル以上まで上がって北に流れ、山頂火口
から数百メートルの範囲に大きな噴石が飛散しました。新岳で噴火が発生す
るのは1980年以来です。噴火に伴い空振と振幅の大きい火山性微動が発
生し、火山性微動は約6分30秒間継続しました。傾斜計による観測では、
噴火の約1時間前から山頂近傍の観測点で山頂側が隆起する変化が捉えられ
ました。噴火直後には山頂側が沈降する変化が認められました。
 その後の上空からの調査により、新岳山頂火口の南西側から西側にかけて
と東側で、噴火に伴う低温の火砕流の痕跡が確認されました。また南西側で
は海岸近くまで火山灰や火山ガスによる樹木の変色が確認されました。また
、同火口の一部のわずかな拡大と、同火口縁の西側及び南東側に割れ目が確
認されました。噴出した火山灰には新鮮なガラス質粒子が少量含まれている
ことから、今回の噴火にはマグマが関与したと考えられます。

 口永良部島の火山活動は、前回1980年の噴火以降、火山性地震が19
92年、1996年、及び1999年以降は毎年のように増減を繰り返して
いました。GNSSによる地殻変動観測では、2004年以降、数年に一度
、新岳火口直下の浅部の膨張を示す変化が捉えられていました。同時期には
熱活動の高まりを示す地磁気の変化が観測されています。2008年には、
地震活動や地殻変動に加え、噴気活動の高まり、火山ガス(二酸化硫黄)放
出量の増加、及び新岳火口底の温度上昇が認められるなど火山活動が一時活
発化しました。その後も噴気活動は継続しており、火山性地震が増減を繰り
返す中で明確な前兆がないまま噴火が発生しました。

 8月3日の噴火以降、新岳山頂火口や西側割れ目からの噴煙活動がやや活
発な状態となっており、火山性地震が8月5日以降増加しているなど、口永
良部島の火山活動が高まった状態で推移しています。このことから、今後も
噴火が発生し、火砕流を伴う可能性があります。
 噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してくださ
い。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意してください。
また、降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。

 噴火に伴い、山頂付近の観測点が障害・欠測となっており、火山活動の推
移を注意深く監視するため、観測体制の再構築の早急な検討が必要です。

2.防災上の警戒事項等
 火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな
噴石に警戒してください。
 向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流
に警戒してください。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意してください。
 降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>