火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第18号 平成24年2月29日18時30分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(本 文)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 1.火山活動の状況 火山噴火予知連絡会の検討結果 本日(29日)、第122回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新 燃岳)の火山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめまし た。 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果 新燃岳の北西地下深くのマグマだまりへの深部からのマグマの供給は停止 しています。しかし、現在でも火口やその直下には高温の溶岩が溜まってお り、新燃岳直下の火山性地震も続いていることから、突発的な噴火が発生す る可能性があります。また、今後、深部からのマグマ供給が再開する可能性 もあり、新燃岳へ多量のマグマが上昇すれば新たな噴火の可能性があります 。 霧島山(新燃岳)では、昨年9月7日の噴火以降、噴火は発生していませ ん。 新燃岳直下の火山性地震はやや多い状態が継続しています。1日あたりの 二酸化硫黄の放出量は、200から500トン程度です。 新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりは、昨年 1月26日から2月1日の本格的なマグマ噴火に対応して急激に収縮した後 、再び緩やかな膨張を続けました。GPS観測によると、マグマだまりの膨 張に伴う基線長の伸びは、本格的なマグマ噴火の際の短縮量の3/4程度と なった昨年12月頃からは鈍化し、現在は停滞しています。 新燃岳周辺の地震活動には、顕著な変化は認められず、他の領域の地殻変 動データにも特段の変化は認められていません。 以上のように、新燃岳の北西地下深くのマグマだまりには相当量のマグマ が蓄積されていますが、現在はマグマだまりへの深部からのマグマの供給は 停止していると推定されます。しかし、火口には多量の溶岩が溜まっており 、新燃岳直下の火山性地震の活動や火山ガスの放出も続いていることから、 現在でも突発的に噴火が発生する可能性があります。また、今後、深部から のマグマの供給が再開する可能性もあり、マグマだまりから新燃岳へ多量の マグマが上昇すれば昨年1月下旬から2月上旬の本格的な噴火の規模に匹敵 または上回る新たな噴火活動に至ることも考えられます。 引き続き、新燃岳付近では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に 警戒が必要です。風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石 (火山れき)に注意が必要です。また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意 が必要です。 噴火警報等及び霧島山上空の風情報に注意してください。 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報にご注意く ださい。 2.防災上の警戒事項等 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する 大きな噴石に警戒が必要です。 風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山れき)に 注意が必要です。これまでの噴火では、風に流されて直径4cm程度の小さ な噴石(火山れき)が新燃岳火口から10kmを超えて降りました。 また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等及び霧 島山上空の風情報に注意してください。 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意して ください。 <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>