火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第36号 平成23年2月15日18時30分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(本 文)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 1.火山噴火予知連絡会の検討結果 本日、第118回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新燃岳)の火 山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめました。 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果 引き続き爆発的噴火は続くと思われますが、新燃岳へ上昇するマグマの量 は現在は低下しており、多量の火山灰等を放出するような噴火の可能性は低 くなっています。しかし多量のマグマが再上昇すれば、噴火活動が再び活発 化する可能性があります。 霧島山(新燃岳)では、1月26日から本格的なマグマ噴火が始まり、多 量の火山灰等を放出する噴火活動があり、火口内に溶岩が噴出、爆発的な噴 火が繰り返されました。 2月4日以降、ほぼ連続的に火山灰を放出していましたが、9日頃から噴 火は断続的となり、その後は、2月11日と14日に爆発的噴火が発生しま したが、噴火の頻度は低くなってきています。9日以降は、火山性微動は減 少し、新燃岳を震源とする火山性地震も散発的な噴火に伴う一時的な増加を 除いて減少しています。火口に出現した溶岩の蓄積量も2月3日以降ほとん ど変化がみられなくなりました。 新燃岳へのマグマの上昇・噴出に対応してGPS等で観測された新燃岳の 北西数kmの地下深くのマグマだまりの収縮は1日以降停滞しています。傾 斜計でも1月26日〜31日にみられたような顕著な変化は観測されていま せん。また、新燃岳周辺の地震活動にも、顕著な変化は認められません。 以上のことから、地下深くのマグマだまりから新燃岳へ上昇するマグマの 量は、現在、低下していると推定されます。引き続き爆発的噴火は続くと思 われますが、当面、1月26日〜27日にみられたような多量の火山灰等を 放出する噴火の発生の可能性は低くなっていると考えられます。 しかし、再び多量のマグマが新燃岳へ上昇すれば噴火活動が活発化する可 能性があり、地殻変動等のデータを注意深く見守る必要があります。 引き続き、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石と火砕流に警戒が 必要です。風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山 れき)に注意が必要です。 また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等及び霧 島山上空の風情報に注意してください。 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意くだ さい。 2.防災上の警戒事項等 新燃岳火口から概ね4kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する 大きな噴石に警戒が必要です。 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う火砕流に警戒が必要で す。 風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山れき)に 注意が必要です。これまでの噴火では、風に流されて直径4cm程度の小さ な噴石(火山れき)が新燃岳火口から10kmを超えて降りました。 また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等及び霧 島山上空の風情報に注意してください。 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意して ください。 <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>