平成27年 No.25 週間火山概況 (平成27年6月12日~6月18日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

 16日に蔵王山に噴火予報を発表し、火口周辺危険から活火山であることに留意に引き下げました。その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 6月18日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
噴火警報 レベル5(避難) 口永良部島※
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 御嶽山、桜島
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 吾妻山、草津白根山、浅間山、箱根山、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、新潟焼山、焼岳、富士山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(6月18日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


吾妻山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 大穴火口付近直下が震源とみられる火山性地震は46回発生しました(前期間は119回:図2)。火山性微動は観測されていません。
 大穴火口からの噴気はやや活発な状態が続いており、地熱域のわずかな拡大傾向もみられます。また、一切経山(いっさいきょうざん)南山腹の大穴火口外の噴気も引き続きみられています。
 浄土平の傾斜計1)では、2014 年4月頃からの西(火口方向)上がりの変動が継続しています。
 GNSS2)連続観測では、2014 年9月頃から一切経山南山腹観測点が関係する基線で変化がみられており、
一切経山付近の膨張を示していると考えられます。
 大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)、火山ガスに注意してください。

火山性地震の発生状況

図2 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年4月1日~2015年6月18日)



草津白根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が2014年3月上旬から増加しています。8月20日以降はやや少ない状態で経過していますが、2015年1月以降は一時的な火山性地震の増加もみられています。
 GNSS2)観測によると、湯釜を挟む基線で2014年4月頃からわずかな伸びの変化がみられていましたが、2015年4月頃より鈍化しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計1)によると、2014年3月から湯釜付近浅部での膨張を示す変動が継続しています。全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、7月以降は停滞しています。
 湯釜火口内北東部や北壁及び水釜火口の北から北東側にあたる斜面で熱活動の活発な状態が継続しています。また、北側噴気地帯のガス組成及び湯釜湖水の化学成分の活動活発化を示す変化が継続しています。
 今後、小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


浅間山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動は活発な状態で経過しています。
 16日に山頂火口でごく小規模な噴火が発生しました。遠望カメラによる観測では、視界不良のため噴煙は確認できませんでしたが、噴火の発生時刻は、東京大学地震研究所が火口付近に設置している空振計の観測データにより、08時50分とみられます。産業技術総合研究所及び東京大学地震研究所による噴火に伴う火山灰の観察結果から、新鮮なマグマ由来と考えられる物質が含まれていることが分かりました。このことから今回の噴火はマグマ水蒸気噴火であったと考えられます。
 16日に実施した降灰調査では、浅間山の北から北東にかけて噴火による微量の降灰を確認しました。また、16日に関東地方整備局の協力により実施した上空からの観測では、山頂火口からの白色噴煙と青白色のガス(二酸化硫黄)の噴出及び火口周辺の降灰も確認しました。火口内の形状に特段の変化は認められませんでした。噴火はその後発生していません。
 4月下旬頃から増加している山頂直下のごく浅い所を震源とする火山性地震は、16日に143回、17日に167回、18日に107回観測するなど多い状態が続いています(図3)。また、16日08時12分頃から19時28分頃にかけて、連続的に火山性微動が観測されました。
 GNSS2)連続観測によると、2009年秋頃から縮みの傾向がみられていましたが、2015年4月頃から伸びに転じた可能性があります。傾斜計1)による地殻変動観測では、16日に火山活動に関連するとみられるわずかな変動が観測されましたが、その後変動は停滞しています。
 また、16日夜から17日未明にかけて山頂火口で、高感度カメラで確認できる程度の微弱な火映4)を観測しました。二酸化硫黄の放出量は13日の観測で1日当たり700トン、15日の観測では1,100トンと多い状態が継続しています(図4)。16日の噴火時を除き、火口からの噴煙は白色で、火口縁上1,000m以下で推移しており、噴煙量はわずかながら増加傾向がみられます。
 浅間山では、山頂火口から概ね2km の範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒が必要です。登山者等は地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)に注意してください。

火山性地震の発生状況

図3 浅間山 火山性地震の発生状況(2015年4月1日~6月18日)

二酸化硫黄放出量

図4 浅間山 二酸化硫黄放出量(2002年7月4日~2015年6月15日)


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上200~1,000mで経過しています。
 火山性地震は少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状況には戻っていません。火山性微動は観測されていません。
 御嶽山では、火山活動は低下した状態が継続しており、2014年10月中旬以降噴火が発生していないことから、2014年9月27日と同程度の噴火の可能性は低くなっています。しかしながら、噴煙活動や地震活動が弱いながらも続いていることから、2014年9月27日よりも規模の小さな噴火が今後も突発的に発生する可能性は否定できません。
 火口から概ね2㎞の範囲で噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)と火砕流に警戒してください。これに加えて南西側(地獄谷方向)では火口から概ね2.5㎞まで火砕流に警戒してください。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石3)に注意してください。また、降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。


箱根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しました。
 4月26日以降増加している火山性地震は、6月に入ってから減少しており、今期間はやや少ない状態で経過しました(図5)。低周波地震及び火山性微動は観測されていません。
 気象庁と神奈川県温泉地学研究所の傾斜計1)による地殻変動観測及び湯河原鍛冶屋の体積ひずみ計5)で火山活動に関連するとみられる変動が継続していますが、傾斜計1)で次第に鈍化する傾向を示す観測点もみられます。また、国土地理院のGNSS2)連続観測によると、大涌谷を挟む基線で、4月下旬から小さな伸びがみられます。
 6月18日に実施した現地調査及び大涌谷に設置している遠望カメラによる観測により、大涌谷温泉供給施設の蒸気の勢いが引き続き5月に比べて弱まってきているのを確認しています。
 地震回数が減少しているものの、地震活動、地殻変動及び活発な蒸気の噴出が継続している間は、大涌谷周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大涌谷周辺では小規模な水蒸気噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石3)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。
※今回の「火口周辺警報」の対象となる火口は「大涌谷周辺」です。

火山性地震の日別回数

図5 箱根山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~6月18日)


西之島[火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 12日に第三管区海上保安本部が、14日に海上保安庁が上空からの観測を実施し、第7火口での噴火活動の継続を確認しました。
 14日の観測では、第7火口から、乳白色の噴煙を観測しました。第7火口内に小火砕丘を形成し、その小火砕丘から噴煙が放出していました(図6)。また、西之島周囲の海岸線には、薄い黄緑色の変色水が、幅約50~100mで分布していました。
 西之島の中心から概ね4㎞以内では噴火に警戒してください。

西之島の状況

図6 西之島の状況 2015年6月14日13時38分 海上保安庁提供


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震は少ない状態で経過しています。13日に継続時間1分程度の火山性微動が1回観測されました。微動の発生時及びその前後で遠望カメラでは特段の変化は認められませんでした。
 GNSS2)観測によると、地殻変動は2014年12月上旬頃から隆起の傾向がみられ、2015年3月頃から隆起速度が上がっています。また、2015年4月中旬頃から西向きの変動速度が上がっています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で推移しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 阿蘇山では、今期間噴火は発生しませんでした。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上300mまで上がりました。
 12日、15日に実施した現地調査では、中岳第一火口内の141火孔6)から白色の噴煙が上がり、141火孔6)内の一部に湯だまりを確認しました。
 火山性微動の振幅は、13日07時以降は小さい状態となっていましたが、18日17時からやや大きくなっています(図7)。火山性地震及び孤立型微動は概ね多い状態で経過しています。
 GNSS2)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線の伸びは2015年3月頃から停滞しています。
 中岳第一火口では火山活動が停滞する傾向がみられるものの、活発な火山活動が続いていることから、中岳第一火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。火口周辺では強風時に小さな噴石3)が1km を超えて降るため、風下側では火山灰だけではなく小さな噴石3)にも注意してください。

火山性微動の30分間平均振幅

図7 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2015年6月18日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 新燃岳では、噴火は発生しませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 傾斜計1)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS2)連続観測では、新燃岳の北西数km の地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2013年12月頃から伸びの傾向が見られていましたが、2015年1月頃から停滞しています。
 新燃岳では火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき7))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。 降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、噴火活動が続いています。
 昭和火口では、爆発的噴火が2回発生しました。大きな噴石3)の飛散範囲については、雲のため確認できませんでした
 また、同火口では、夜間に高感度カメラ8)で明瞭に見える火映4)を時々観測しました。
 火山性地震は、12日と17日及び18日に一時的に増加しました。
 南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
 地殻変動観測では、桜島島内で2014年12月下旬頃から山体の隆起と膨張と考えられる変化が継続しています。今後、多量の火山灰を降らせる噴火が発生する可能性があります。
 また、姶良カルデラ深部では長期的に膨張が進行してきており、引き続き活発な噴火活動が継続すると考えられますので、火山活動の推移に注意してください。昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき7))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


口永良部島[噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)及び火山現象に関する海上警報]

 口永良部島の新岳では、18日12時17分頃に噴火が発生し、12時47分まで継続しました。天候不良のため噴煙の状況は不明です。
 第十管区海上保安本部によると、口永良部島の東海上(新岳火口から約9km)で、この噴火に伴うと考えられる、0.5~2.5cm程度の小さな噴石3)が降ったことが巡視船により確認されました。また、周辺海域で降灰も確認されました。
 18日に実施した現地調査及び聞き取り調査によると、口永良部島の東海上、屋久島町、西之表市、中種子町で降灰が確認されました。
 地殻変動観測では、噴火に伴い新岳北東山麓観測点の傾斜計1)で山頂側が沈降する変化を観測しました。
 18日12時17分の噴火に伴って火山性微動が発生し、12時47分まで継続しました。
 新岳北東山麓観測点(新岳火口から北東約2.3km)で19.4Paの空振(5月29日の噴火では62.2Pa以上)を観測しました。
 火山性地震は18日12時17分の噴火直後は多くなりましたが、同日14時以降少なくなりました。
 また、18日16時31分にごく小規模の噴火が発生し、灰白色の噴煙が火口縁上200mまで上がり、北東に流れました。
 今後も、5月29日と同程度の噴火が発生する可能性があります。大きな噴石3)の飛散及び火砕流の流下が切迫している居住地域では、厳重な警戒(避難等の対応)をしてください。屋久島町の避難等の指示に従ってください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)が遠方まで風に流されて降るため注意してください。
 降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。
 新岳火口から半径2海里以内の周辺海域では、噴火による影響が及ぶ恐れがありますので、噴火に警戒してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島では、今期間噴火は発生しませんでした。
 火山性地震が時々発生しました。14日及び15日から16日にかけて火山性微動が発生しました。
 また、御岳(おたけ)火口では13日から15日にかけて夜間に高感度カメラで火映4)を観測しました。
 諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火を繰り返しています。今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】


蔵王山[噴火予報(活火山であることに留意)] ←16 日に火口周辺警報(火口周辺危険)から引下げ

 蔵王山では、2015年4月に御釜周辺が震源と推定される火山性地震が増加し、火山活動が活発になりましたが、5月下旬以降は地震の少ない状態で経過していました。火山性微動は5月17日を最後に観測されていません。これまでに行った現地調査や上空からの観測等では、御釜周辺と丸山沢噴気地熱地帯をはじめ想定火口域(馬の背カルデラ)内に特段の変化は確認されていません。これらのことから、噴火の発生する可能性が低くなったと判断し、16日09時00分に噴火予報を発表し、火口周辺警報(火口周辺危険)から噴火予報(活火山であることに留意)に引き下げました。
 今期間、火山性地震は32回発生し、(前期間0回)17日は14回、18日は15回と、1日あたり10回を超えました。
 2013年以降、火山性地震の増加や火山性微動の発生が観測されており、2014年10月以降はわずかな膨張を示す地殻変動が観測されるなど、長期的にみると火山活動はやや高まった状態にありますので、今後の火山活動の推移に注意してください。
 また、蔵王山は活火山であることから、想定火口域(馬の背カルデラ)内で噴出現象が突発的に発生する可能性がありますので、周辺では注意が必要です。
 登山や観光などで山に入る場合には、活火山であることに留意して、突然の火山活動の活発化に注意して行動してください。




上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
2) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
3) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
4) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
5) センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されます。
6) 阿蘇山では、火口内の火山灰や噴石を噴出する孔を火孔と呼んでいます。火山活動に伴い、火孔の位置が変わったり、 同時に複数個の火孔が開口したりしたことがあり、明瞭に区別するために、141火孔のように西暦の下2桁と通し番号で命名しています。
7) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
8) 九州地方整備局大隅河川国道事務所が黒神河原上流に設置したカメラ等によります。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (平成27年6月12日~6月18日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
16日 09時00分
蔵王山 噴火予報 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)へ引上げ
毎日02時から3時間毎に8回 阿蘇山
桜島
口永良部島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び
小さな噴石の落下範囲を予想
毎日07時、17時
三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



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