平成27年 No.20 週間火山概況 (平成27年5月8日~5月14日)
【火山現象に関する警報等の発表状況】
いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。
表1 5月14日現在の火山現象に関する警報等の発表状況
特別警報・警報・予報 |
噴火警戒レベル及びキーワード |
該当火山 |
火口周辺警報 |
レベル3(入山規制) |
御嶽山、桜島、口永良部島 |
入山危険 |
西之島※ |
レベル2(火口周辺規制) |
吾妻山、草津白根山、箱根山、三宅島、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島 |
火口周辺危険 |
蔵王山、硫黄島※ |
噴火警報(周辺海域) |
周辺海域警戒 |
福徳岡ノ場※ |
噴火予報 |
レベル1(平常) |
雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、浅間山、新潟焼山、焼岳、富士山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島 |
平常 |
上記以外の活火山 |
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(5月14日現在)
【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】
蔵王山 [火口周辺警報(火口周辺危険)]
火山活動はやや活発な状態で推移しています。 火山性地震は54回発生しました(前期間21回:図2)。火山性微動は観測されていません。地殻変動観測では、特段の変化はみられませんでした。
想定火口域(馬の背カルデラ)から概ね1.2km の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、風下側では火山灰や小さな噴石1)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。

図2 蔵王山 火山性地震の発生状況(2013年1月1日~2015年5月14日)
吾妻山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
火山活動は活発な状態です。
今期間、火山性地震は19回発生しました(前期間168回:図3)。火山性微動は観測されていません。大穴火口からの噴気はやや活発な状態が続いています。また、一切経山(いっさいきょうざん)南山腹の大穴火口外の噴気も引き続きみられています。
浄土平の傾斜計2)では、2014年4月頃からの長期的な西(火口方向)上がりの変動が継続しています。
GNSS3)連続観測では、2014年9月頃から一切経山南山腹観測点が関係する基線で変化がみられており、一切経山付近の膨張を示唆すると考えられます。
大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)、火山ガスに注意してください。

図3 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年1月1日~2015年5月14日)
草津白根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
火山活動はやや活発な状態で推移しています。
湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が2014年3月上旬から増加し、8月20日以降はやや少ない状態で経過しています。2015年1月以降は一時的な火山性地震の増加もみられています。
GNSS3)観測によると、湯釜を挟む基線で2014年4月頃からわずかな伸びの変化が継続しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計2)によると、2014年3月から湯釜付近浅部での膨張を示す変動が継続しています。
全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、7月以降は停滞しています。
今後、小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。
御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上200~300mで経過しています。
火山性地震は少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状況には戻っていません。火山性微動は観測されていません。
御嶽山では、火山活動は低下してきており、現状で、2014年9月27日と同程度、またはそれを上回る規模の噴火が発生する可能性は低くなっています。
一方、火口列からの噴煙活動や地震活動が継続していることから、今後も小規模な噴火が発生する可能性があります。
新たな火口列の中心から概ね2㎞の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)と火砕流に警戒してください。これに加えて南西側(地獄谷方向)では火口から概ね2.5㎞まで火砕流に警戒してください。
風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。また、降雨時には土石流の可能性がありますので注意してください。
箱根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
火山活動は活発な状態で経過しています。
箱根町湯本で震度1以上を観測する地震が10日に6回、11日と12日にそれぞれ1回発生するなど火山性地震は多い状態で経過しました(図4)。低周波地震及び火山性微動は観測されていません。また、気象庁と神奈川県温泉地学研究所の傾斜計2)による地殻変動観測及び湯河原鍛冶屋の体積ひずみ計4)で火山活動に関連するとみられる変動が観測されています(図5)。また、国土地理院のGNSS3)連続観測によると、箱根山を挟む基線で、4月下旬からわずかな伸びがみられます。
気象庁が8日と14日に実施した現地調査並びに13日に関東地方整備局の協力により実施した上空からの観測で、大涌谷温泉施設で引き続き蒸気が勢いよく噴出しているのを確認しました。
気象庁では箱根山の火山活動が活発化したことに伴い、大涌谷にカメラを設置し、13日09時から監視を開始しました(図6、図7)。
大涌谷周辺では小規模な水蒸気噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

図4 箱根山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~5月14日)

図5 箱根山 湯河原鍛冶屋観測点におけるひずみ変化と箱根山地震活動の推移
(2014年11月1日~2015年5月14日)

図6 箱根山 大涌谷の状況(15日08時14分、大涌谷遠望カメラによる)
赤円は蒸気が勢いよく噴出している場所

図7 箱根山 大涌谷遠望カメラの観測方向
四角印は蒸気が勢いよく噴出している場所
三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
噴煙は白色で、火口縁上概ね300m以下で経過しています。
火山性地震は、少ない状態で経過しています。
12日に実施した火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり200トン(前回4月16日200トン)とやや少ない状態でした。
二酸化硫黄の放出が長期的に継続しており、火山活動はやや活発な状態で推移しています。
三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性は低くなっていますが、噴煙活動は続いており火口近傍に火山灰等が噴出する可能性があるので、山頂火口周辺(雄山環状線内側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください。
西之島[火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]
12日に実施した第三管区海上保安本部の上空からの観測を実施によると、第7火口で活発な噴火が継続していました(図8)。白色の噴煙が、約1,000~2,000m まで上がり北西方向へ流れていました。
溶岩流は第7火口火砕丘北側山腹の溶岩流出口から火砕丘東側山麓を回り込んで南東方向へ流下し、扇状に拡大しながら新たな陸地を形成しています。先端部は海面に接した場所で白煙を上げていました。
この新たな陸地は、西之島の南東側海岸線に沿って長さ約350m、沖合へ幅約100m以上(概算)拡大しています。溶岩流が海岸線に達している付近に、薄い茶褐色の変色水が、海岸線に沿って幅約100~500mで分布していました。また西之島周囲の海岸線には、薄い黄緑色の変色水が、幅約50~600m で分布していました。
なお、西之島及び新たな陸地には、津波を発生させる恐れのある、海岸線に平行して走る断層やクラックは認められませんでした。
西之島では、今後も新たに形成された陸地にある火口で噴火活動が継続すると考えられます。また、西之島周辺の海底で噴火が発生する可能性も引き続き考えられ、噴火による影響が海上まで及んだ場合、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)や水面を高速で広がるベースサージ4)等の影響が概ね2㎞の範囲に及ぶおそれがありますので、西之島の中心から概ね4㎞以内の範囲では噴火に警戒してください。

図8 西之島の状況 12日13時50分 海上保安庁提供
硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]
火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
GNSS3)観測によると、地殻変動は2014年12月上旬頃から隆起の傾向がみられ、2015年3月頃から隆起速度が上がっています。また、2015年4月中旬頃から西向きの変動速度が上がっています。
硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では噴火に警戒してください。
福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]
これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で推移しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。
阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
阿蘇山では、断続的な噴火活動が継続していましたが、11日以降、噴火は発生していません。
遠望観測では、10日に乳白色の噴煙が最高で火口縁上500mまで上がりました。
8日12時58分に、振幅の大きな火山性地震が発生し、南阿蘇村中松で震度3を観測しました。地震の前後で、噴煙や地殻変動等に特段の変化は認められませんでした。
火山性微動の振幅は、概ね大きな状態が継続していましたが、11日以降、小さな状態となっています(図9)。
11日、13日に実施した現地調査では、中岳第一火口内の141火孔6)周辺から白色の噴煙が上がっているのを確認しました。鳴動および噴石1)の噴出は確認できませんでした。14日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日当たり900トン(前回4月21日1,500トン)とやや多い状態でした。
GNSS3)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線の伸びは2015年3月頃から停滞しています。
中岳第一火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。火口周辺では強風時に小さな噴石1)が1km を超えて降るため、風下側では火山灰だけではなく小さな噴石1)にも注意してください。

図9 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2015年5月14日)
霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
新燃岳では、噴火は発生しませんでした。
火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
GNSS3)連続観測では、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2013年12月頃から伸びの傾向が見られていましたが、2015年1月頃から停滞しています。
新燃岳では火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき7))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
降雨時には、泥流や土石流に注意してください。
桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
桜島では、活発な噴火活動が続いています。
昭和火口では、爆発的噴火が50回発生しました。
8日10時49分と11時26分、10日16時47分及び13日21時04分の爆発的噴火では、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)が3合目(昭和火口より1,300~1,800m)まで達しました。13日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり400トン(前回1日2,300トン)とやや少ない状態でした。また、14日の現地調査では、鹿児島市黒神町付近で13日21時04分の爆発に伴って落下したと推定される最大約2cmの小さな噴石と、道路の白線が見えにくくなる程度のやや多量の降灰を確認しました。
また、同火口では、夜間に高感度カメラ8)で明瞭に見える火映9)を8日と11日に観測しました。
鹿児島県が実施している降灰の観測データから推定した火山灰の4月の総噴出量は約120万トンで、2006年6月の昭和火口の噴火再開以降の月総噴出量としては最も多い量となりました。
南岳山頂火口では、12日に噴煙の高さが200m程度のごく小規模な噴火を観測しました。南岳山頂火口で噴火を観測したのは2014年11月7日以来です。
大隅河川国道事務所の有村観測坑道及び京都大学防災研究所のハルタ山観測総合坑道に設置している傾斜計2)、伸縮計10)及び桜島島内の基線のGNSS3)連続観測では、2015年1月以降、山体が隆起・膨張する変化が観測されています(図10)。今後、2012年7月24日及び2013年8月18日以上の多量の火山灰を噴出する噴火が発生する可能性があります。また、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟むGNSS3)連続観測の基線では、長期的に姶良カルデラ深部の膨張を示す伸びの傾向がみられます。
昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき7))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。

図10 桜島 有村観測坑道の伸縮変動(2014年12月1日~ 2015年5月14日)
口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
口永良部島の火山活動は活発な状態が継続しています。
白色の噴煙が最高で火口縁上600mまで上がりました。噴火は発生しませんでしたが、新岳火口からの噴煙量は2014年8月3日の噴火前に比べて多い状態が継続しています。また、同火口では、夜間に高感度カメラで火映9)を時々観測しました。
火山性地震が時々発生しています。火山性微動は観測されていません。
GNSS3)連続観測では、2014年12月頃から山麓の観測点による基線の一部で認められたわずかな伸びの傾向は、2月頃から鈍化しています。
8日から14日に気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査では、新岳火口からの活発な噴煙や、同火口の西側割れ目付近からの噴気を引き続き確認しました。新岳火口西側部分の熱異常域は引き続き認められました。風下側で明らかに感じる臭気が認められました。14日の二酸化硫黄の放出量は1日あたり700トン(前回4日1,500トン)とやや多い状態でした。
噴煙活動等は継続しており、今後も2014年8月3日と同程度の噴火が発生する可能性があります。
また、火山ガス観測や地殻変動観測によると、今後、爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火に移行する可能性もありますので、火山活動の推移を引き続き注意深く見守る必要があります。
新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。
諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
諏訪之瀬島では今期間、噴火は発生しませんでした。
火山性地震は時々発生しました。火山性微動は12日からほぼ連続して発生しています。
また、同火口では、夜間に高感度カメラで火映8)を時々観測しました。
今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】
十勝岳 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)]
13日未明から62-2火口付近の浅い所を震源とする規模の小さな地震が増加しています。その他のデータには特段の異常はみられません。
十勝岳では、直ちに噴火に至る兆候は認められませんが、ここ数年、山体浅部の膨張や大正火口の噴煙量および地震回数の増加、火山性微動の発生、発光現象などが観測されており、長期的にみると十勝岳の火山活動は高まる傾向にありますので、今後の火山活動の推移に注意してください。
十勝岳は活火山であることに留意してください。
樽前山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)]
11日夜から12日にかけて、山頂溶岩ドーム直下のごく浅い所(海抜0km付近)を震源とする微小な火山性地震が一時的に増加しましたが、その後は少ない状態で経過しました(図11)。火山性微動は発生しておらず、噴気活動や地殻変動に特段の変化はありません。
山頂溶岩ドーム周辺では、1999年以降、高温の状態が続いていますので、突発的な火山ガス等の噴出に注意してください。
樽前山は活火山であることに留意してください。

図11 樽前山 火山性地震の発生状況(日回数及び積算回数)
(上図:2003 年1月1日~2015 年5月14 日)
上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。
1) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
2) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
3) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
4) センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されます。
5) 火山ガスと火山灰等の混合物が、水面や地表面を高速で横方向に広がり、地表の物を巻き込む現象で、人体や建物、船舶等に大きな被害を与える恐れがあり、とても危険です。
6) 阿蘇山では、火口内の火山灰や噴石を噴出する孔を火孔と呼んでいます。火山活動に伴い、火孔の位置が変わったり、 同時に複数個の火孔が開口したりしたことがあり、明瞭に区別するために、141火孔のように西暦の下2桁と通し番号で命名しています。
7) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
8) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
9) 九州地方整備局大隅河川国道事務所が黒神河原上流に設置したカメラ等によります。
10) 火山活動による地殻の伸び縮みを観測する機器。マグマ溜まりや火道内の圧力増加によって生じる火口周辺の変化が観測されることがあります。1nstrain(ナノストレイン)は1kmの長さのものが1000分の1mm伸び縮みするような変化量です。
注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (平成27年5月1日~5月14日)
発表日時 |
火山名 |
特別警報・ 警報・予報 |
概要 |
8日 11時41分、12時51分、
15時00分、15時20 分、
21時25分
10日 08時31分、09時58分、
12時04分、15時58分、
18時15分、19時33分、
20時32分
13日 10時03分、12時13分、
13時16分、15時39分、
17時53分、17時53分、
21時16分、22時11分
14日 04時29分、09時08分 |
桜島 |
降灰予報(速報) |
噴火発生から1時間以内に予想される 降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を予想 |
8日 12時00分、13時10分、
15時15分、15時37分、
21時38分
10日 08時45分、10時13分、
12時22分、16時17分、
18時30分、19時50分、
20時50分
13日 10時20分、12時30分、
13時35分、15時55分、
18時06分、21時32分、
22時26分
14日 04時44分、09時23分 |
桜島 |
降灰予報(詳細) |
噴火発生から6時間先までに予想される 降灰量分布や降灰開始時刻を予想 |
毎日02時から3時間毎に8回 |
阿蘇山 桜島 諏訪之瀬島 |
降灰予報(定時) |
噴火した場合に予想される、降灰範囲及び 小さな噴石の落下範囲を予想 |
毎日07時、17時 |
三宅島 |
火山ガス予報 |
島内の火山ガスの分布予想 |
【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表
特別警報・警報・予報 |
噴火警戒レベルとキーワード |
噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード |
噴火警報※ |
レベル5(避難) |
居住地域厳重警戒 |
レベル4(避難準備) |
火口周辺警報 |
レベル3(入山規制) |
入山危険 |
レベル2(火口周辺規制) |
火口周辺危険 |
噴火予報 |
レベル1(平常) |
平常 |
海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。
なお、平成27年5月18日14時より噴火警戒レベル1及び噴火予報におけるキーワード「平常」の表現を、活火山であることを適切に理解できるよう、「活火山であることに留意」に改めます。
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