平成26年 No.51 週間火山概況 (平成26年12月12日~12月18日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

 12日に吾妻山に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げ ました。また、16日に十勝岳に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規 制)に引上げました。
 その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 火山現象に関する警報等の発表履歴(平成26年12月12日~12月18日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
12日15時00分 吾妻山 火口周辺警報 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)へ引上げ
16日14時00分 十勝岳 火口周辺警報 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)へ引上げ
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

表2 12月18日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 御嶽山、桜島、口永良部島
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 十勝岳、吾妻山、草津白根山、三宅島、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※、霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(平常) 雌阿寒岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、浅間山、新潟焼山、焼岳、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
平常 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(12月18日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


十勝岳[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]←16日に噴火警戒レベル1(平常)から引上げ

 十勝岳では、ここ数年、山体浅部の膨張や大正火口の噴煙量増加および地震増加、火山性微動の発生、 発光現象などが観測されており、火山活動が徐々に高まってきています。
 今年7月頃から、62-2火口に近い観測点で山体浅部の膨張を示すと考えられる地殻変動の変化率が大 きくなっており、膨張がさらに浅い領域にまで及んでいる可能性があります。また、62-2火口および大 正火口の近傍に設置してある地震計(グラウンド火口西観測点)の常時微動の振幅レベル1)は、11月か ら増大がみられ、山体浅部の熱水活動が高まっている可能性があります。
 このため、今後、ごく小規模な噴火の発生する可能性が高まっていると判断し、16日14時00分に火口 周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げました。
 今期間、地震活動に特段の変化はなく、火山性微動は観測されませんでした。
 62-2火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴い弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。  62-2火口から概ね1kmの外側であっても、風下側では火山灰や小さな噴石2)が風に流されて降るおそれ があるため注意してください。


吾妻山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]←12日に噴火警戒レベル1(平常)から引上げ

 12日06時21分頃に火山性微動が発生しました。微動の最大振幅は3.3μm/s[吾妻小富士東観測点(大 穴火口の東約3㎞):上下成分]と平均的でしたが、継続時間は約35分と長いものでした。火山性微動 を観測したのは2013年8月13日以来です。
 この火山性微動の発生後、大穴火口付近直下のごく浅いところで発生したと推定される火山性地震が 一時的に増加し、その後、増減を繰り返しています(図3)。火山性地震は今後も増減を繰返しながら 経過するものと考えられます。
 浄土平(じょうどだいら)(大穴火口の東南東約1㎞)の傾斜計3)では、火山性微動発生と同時に西(火口方向)上がり の変動がみられ、その後、微動発生前の状態に戻りました。14日以降、再び緩やかな西(火口方向)上 がりの変動となり、17日まで継続しました(図4)。
 以上のように、吾妻山の火山活動は活発化しており、今後、小規模な噴火が発生する可能性があると 判断し、12日15時00分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制) に引上げました。
 浄土平の火口カメラ(東北地方整備局設置)及び上野寺の遠望カメラでは、大穴火口とその付近の噴 気の状況に異常は認められません。
 大穴火口から概ね500mの範囲では小規模な噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒し てください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石2)、火山ガスに注意してください。

火山性地震の日別回数

図3 吾妻山 火山性地震の日別回数(2014年10月1日00時~12月18日10時)


浄土平観測点の傾斜変動

図4 吾妻山 浄土平観測点の傾斜変動(2014年12月11日11時~12月18日24時)


草津白根山[火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 3月上旬から湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加し、消長を繰り返しながら多い状態 が継続していましたが、8月20日以降はやや少ない状態で経過しています。
 GNSS4)観測によると、湯釜付近の膨張を示す変動が引き続きみられています。
 全磁力観測によると、5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、7月以降は停滞しています。
 今後、小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1km の範囲では噴火に伴う弾 道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち 入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞 留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 火山活動には低下傾向がみられるものの、火口列からの噴煙活動や地震活動が続いており活発な状態 で推移しています。
 山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上30~100mで経過しています。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていません。
 国土地理院のGNSS4)データの解析によると、9月上旬頃から御嶽山を挟む基線でごくわずかな伸び、 9月下旬頃からごくわずかな縮みの傾向がみられましたが、12月までに9月上旬頃の基線長に戻ってい ます。
 御嶽山では、今後も小規模な噴火が発生する可能性があります。また、噴気活動や地震活動等が活発 化する場合には、火口周辺に大きな噴石2)を飛散させ、火砕流を伴うような噴火となる可能性があります。
 火口から4㎞程度の範囲では大きな噴石2)の飛散や火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だ けでなく小さな噴石2)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。爆発的噴火に伴 う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には 土石流の可能性がありますので注意してください。


三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 噴煙は、白色で火口縁上概ね50m以下で経過しています。
 二酸化硫黄の放出量が長期的に継続しており、火山活動はやや活発な状態で推移しています。
 15日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり400トン(前回2日300トン)で、や や少ない状態でした。
 三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
 火山性地震は、少ない状態で経過しています。
 山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、山頂火口周辺(雄山環状線内 側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想 される地域では、火山ガスに警戒してください。


西之島[火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 海上自衛隊によると、活発な噴火活動が続いています。今後も噴火が続くおそれがありますので、 西之島の中心から概ね6km以内の範囲では噴火に警戒してください。また、周辺海域では浮遊物に注意してください。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震はやや少ない状態で経過しています。継続時間が数分程度で、振幅の小さい火山性微動が 時々発生しましたが、遠望カメラでは特段の変化は認められませんでした。
 GNSS4)観測によると、地殻変動は2月下旬頃から隆起の傾向がみられていましたが、9月頃から停滞傾 向となり、12月上旬頃から再び隆起の傾向となりました。
 硫黄島の海上自衛隊からの連絡によると、16日08時20分頃天山付近で数秒間、約10~15mの黒茶色の噴 出現象を確認し、現地では湿った泥のようなものが散らばっており、靴に付着する程度でしたが、臭いや 音は確認されませんでした。一時的に噴出の勢いが強まり、泥を噴出したものと推定されます。同様の現 象は、ミリオンダラーホール(旧噴火口)等で過去にもみられています。黒茶色の噴出現象が確認された 時間帯の地震活動には特段の変化は認められませんでした。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発 生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が 発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(ミリオンダラーホール(旧噴 火口)等)及びその周辺では噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁による上空からの観測は行われ ませんでした。これまでのこれら機関の観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動 によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で推移しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、 周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 阿蘇山では、活発な噴火活動が続いています。
 噴煙は、15日に最高で火口縁上1,000mまで上がりました。熊本地方気象台が、15日に聞き取り調査を 行った結果、中岳第一火口の北東側にあたる熊本県阿蘇市坂梨から波野にかけて降灰を確認しました。
 15日と18日に実施した現地調査では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,000~3,100トン(前回9日 2,300トン)と多い状態が継続しています。
 中岳第一火口では、夜間に遠望カメラ(高感度カメラ)で、赤熱した噴石が火口縁上に上がっているこ とを確認したほか、火映を時々観測しました。また、火口カメラ(阿蘇火山博物館設置)では、火炎5)を 時々観測しました。  火山性微動は、17日13時過ぎから振幅がやや小さくなりましたが、依然大きい状態で継続しており(図 5)、時々空振を伴っています。
 GNSS4)連続観測では一部の基線にわずかな伸びの傾向が認められます。傾斜計3)では、特段の変化は 認められません。
 中岳第一火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴い弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してく ださい。火口周辺では強風時に小さな噴石2)が1km を超えて降るため、風下側では火山灰だけではなく 小さな噴石2)に注意してください。

火山性微動の30分間平均振幅

図5 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年8月1日~2014年12月18日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 新燃岳では、噴火は発生しませんでした。
 火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は発生していません。
 傾斜計3)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS4)連続観測によると、新燃岳の北西数km(えびの高原付近)の地下深くにあると考えられるマグ マだまりの膨張を示す地殻変動は、2011年12月以降鈍化・停滞していましたが、2013年12月頃から伸 びの傾向がみられます。今後の火山活動の推移に注意する必要があります。
 新燃岳火口から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してくだ さい。噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石2)(火山れき6))が風に流されて降るおそれ があるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)[火口周辺警報(火口周辺危険)]

 霧島山のえびの高原(硫黄山)周辺では、火山性地震が時々発生しました(図6)。火山性微動は観測されていません。
 えびの高原の硫黄山から概ね1km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒 して下さい。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石2)に注意してください。

火山性地震の日別回数

図6 霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) 火山性地震の日別回数(2013年12月1日~2014年12月18日)


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 桜島では、活発な噴火活動が続いています。  昭和火口では、爆発的噴火が8回発生し、弾道を描いて飛散する大きな噴石2)が4合目(昭和火口より 800~1,300m)まで達しました。また、同火口では、夜間に高感度カメラ7)で明瞭に見える火映を時々観 測しました。南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
 桜島島内の傾斜計3)では、2014年1月頃から山体が隆起する傾向がみられていましたが、7月中旬頃 から山体が沈降する傾向となっています。
 GNSS4)連続観測では、桜島島内の基線で、2014年1月頃から伸びの傾向がみられていましたが、7月 頃から停滞しています。姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の膨張を示す伸びの傾向は、2013年6月頃から停 滞していますが、長期的には膨張が進行してきており、引き続き活発な噴火活動が継続すると考えられま すので、火山活動の推移に注意してください。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)及 び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石2)(火山れき6))が遠方まで風 に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのお それがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 口永良部島では、火山活動の高まった状態が継続しています。
 噴火は発生しませんでしたが、新岳火口からの噴煙量は噴火前に比べて多い状態で、白色の噴煙が最高で 火口縁上300mまで上がりました。
 東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所及び屋久島町が12日に、福岡管区気象台が14日に 実施した観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,000~1,200 トン(前回11日1,500トン)と多い 状態が続いています。また、赤外熱映像装置8)による観測では、引き続き新岳火口縁の西側、南西斜面、 及び割れ目付近で高温域を確認しました。熱異常域の分布に特段の変化はありませんでした。
 火山性地震が時々発生しました。火山性微動は観測されていません。
 噴煙活動等は継続しており、今後も8月3日と同程度の噴火が発生する可能性がありますので、新岳火 口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。向江浜 地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒してください。風下側では、火 山灰だけでなく小さな噴石2)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には土石流 の可能性があるため注意してください。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島の御岳(おたけ)火口で、14日06時23分に爆発的噴火が発生し、噴煙が最高で火口縁上1,000mま で上がりました。
 火山性地震はやや多い状態で経過し、継続時間の短い火山性微動を観測しました。
 また、同火口では夜間に高感度カメラで火映を時々観測しました。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲で は、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石2)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく 小さな噴石2)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】


蔵王山 [噴火予報(平常)]

 19日(期間外)04時38分頃に振幅の大きな火山性微動が発生しました。坊平観測点(山頂の南西約5 km)の観測では、最大振幅(上下成分)は5.3μm/s と、2013 年1月以降発生している微動の中では2番 目に大きなものでした。継続時間は約1分20秒と短いものでした。蔵王山で火山性微動が観測されたの は、先月(2014年11月19日)以来です(図7下)。
 微動発生前後に火山性地震は観測されていません(図7上)
 坊平観測点の傾斜計3)で、微動発生に先行してわずかな南東(山頂の南側)上がりの変化がみられまし た。GNSS4)による山体およびその周辺の地殻変動観測に特段の変化はありません。
 遠刈田温泉(山頂の東約13km)及び上山金谷(山頂の西約13km)に設置してある遠望カメラでは、丸 山沢の噴気に異常は認められず、御釜付近の状況は雲のため確認できません。
 蔵王山では、2014年8月以降、火山活動の高まりがみられます。過去の活動期には、突発的な噴気孔の 生成や、火山ガスの噴出等の現象があったことから、登山等で火口に近づく際には十分注意してください。

火山性地震の日別回数、火山性微動の発生状況

図7 蔵王山 火山性地震の日別回数、火山性微動の発生状況(2013年1月~2014年12月19日11時)


白山 [噴火予報(平常)]

 16日01時32分頃に、山頂付近の深さ約3km を震源とするマグニチュード(以下、M)3.4の地震が 発生し、白山周辺の石川県白山市、福井県大野市、岐阜県高山市で最大震度1を観測しました。この地 震の直後3時台にかけて地震が一時的に増加しましたが、その後、減少しています(図8)。低周波地 震や火山性微動は観測されていません。
 地震が一時的に増加する前の期間も含め、遠望カメラによる噴煙の状況等その他の観測データに特段 の変化はみられず、噴火の兆候は認められません。
 白山では、これまでも浅部を震源とする地震が一時的に増加することがあり、最近では、2013年1月 31日20時42分のM3.3、2月1日15時19分のM3.4の地震が発生した際に、地震が一時的に増加しま した。

火山性地震の時間別回数

図8 白山 時間別地震回数(2014年12月15日18時~19日24時)



上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 主に火口近傍に設置した地震計が捉えている震動で、火山性地震や火山性微動とちがい、途切れることなく長時間に わたって継続しています。山体浅部の熱水活動などに起因する現象の可能性があります。
2) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴 石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく 「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
3) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあ ります。
4) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPS をはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
5) 高温の噴出物が炎のように見える現象。
6) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。
7) 九州地方整備局大隅河川国道事務所が黒神河原上流に設置したカメラ等によります。
8) 赤外放射温度計や赤外熱映像装置は、物体が放射する赤外線を感知して温度や温度分布を測定する計器で、熱源から 離れた場所から測定できる利点がありますが、測定距離や大気等の影響で熱源の温度よりも低く測定される場合があ ります。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。
  


【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(平常) 平常

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表します。

※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。


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