平成26年 No.18 週間火山概況 (平成26年4月25日~5月1日)
【火山現象に関する警報等の発表状況】
いずれの火山についても、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。
表1 火山現象に関する警報等の発表履歴(平成26年4月25日~5月1日)
発表日時 | 火山名 | 特別警報・ 警報・予報 |
概要 |
毎日07時、17時 | 三宅島 | 火山ガス予報 | 島内の火山ガスの分布予想 |
表2 5月1日現在の火山現象に関する警報等の発表状況
特別警報・警報・予報 | 噴火警戒レベル及びキーワード | 該当火山 |
火口周辺警報 | レベル3(入山規制) | 桜島 |
レベル2(火口周辺規制) | 三宅島、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島 | |
火口周辺危険 | 西之島※、硫黄島※ | |
噴火警報(周辺海域) | 周辺海域警戒 | 福徳岡ノ場※ |
噴火予報 | レベル1(平常) | 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、草津白根山、浅間山、新潟焼山、焼岳、御嶽山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島、口永良部島 |
平常 | 上記以外の活火山 |
図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(5月1日)
【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】
三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
今期間、噴煙の高さは、火口縁上100~200mで経過しました。
火山性地震は、少ない状態で経過しました。
三宅村によると、山麓ではまれにやや高濃度の二酸化硫黄が観測されています。
山頂火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、山頂火口周辺(雄山環状線内側)では噴火に警戒してください。また、火山ガス予報で火山ガスの濃度が高くなる可能性があると予想される地域では、火山ガスに警戒してください。
西之島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]
海上自衛隊と海上保安庁によると、西之島では活発な噴火活動が続いています。
28日に第三管区海上保安本部が実施した上空からの観測によると、北側火口(図2の①)から薄い灰白色、南側火口(図2の②)から青白色の噴煙が噴出していました。島の周辺では薄い緑色の変色水が幅約150~200mに分布していました。
西之島では、今後も噴火が続くおそれがありますので、西之島付近では噴火に警戒してください。また、周辺海域では浮遊物に注意してください。

図2 西之島の状況 (28日15時10分撮影)
硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]
今期間、火山性地震はやや多い状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
国土地理院のGNSS1)観測によると、地殻変動は2014年1月頃から停滞していましたが、2月下旬頃から隆起の傾向がみられています。
硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で推移しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生している地点(旧噴火口等)及びその周辺では噴火に警戒してください。
福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]
28日に第三管区海上保安本部が実施した上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近で直径約150mの白濁した薄い緑色の変色水を確認しました。浮遊物は認められませんでした。
海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部、海上自衛隊及び気象庁によるこれまでの上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。
霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
新燃岳では今期間、噴火は発生しませんでした。
火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されませんでした。
傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められませんでした。
GNSS1)観測によると、新燃岳の北西地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す伸びの変化は、2011年12月以降鈍化・停滞していましたが、2013年12月頃から伸びの傾向が見られます。
新燃岳では火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき4))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。
桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
桜島では、活発な噴火活動が続きました。
昭和火口では、爆発的噴火が4回発生し、大きな噴石3)が5合目(昭和火口より500~800m)まで達しました。同火口では、夜間に高感度カメラ5)で明瞭に見える火映を観測しました。
南岳山頂火口では、噴火は発生しませんでした。
GNSS1)連続観測では桜島島内の基線で、2013年7月頃からわずかな縮みの傾向がみられましたが、2014年1月頃から停滞しています。国土地理院の観測結果によると、鹿児島(錦江)湾を挟む一部の基線では、長期的な伸びの傾向が続いていましたが、2013年6月頃から停滞気味です。
昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)(火山れき4))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。
諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
御岳(おたけ)火口では、29日に爆発的噴火が2回発生するなどやや活発な噴火活動が続きました。18時44分の爆発的噴火では、噴煙の高さが火口縁上500mまで上がりました。諏訪之瀬島で爆発的噴火が発生したのは、3月1日以来です。
同火口では、夜間に高感度カメラ5)で火映を時々観測しました。
火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動を時々観測しました。
今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石3)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石3)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】
草津白根山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)]
3月上旬から火山性地震が時々増加する状況が続いており、今期間も火山性地震はやや多い状態で経過しました。地震の振幅はいずれも小さく、火山性微動は観測されませんでした。また、湯釜北側噴気地帯の噴気の状況や地殻変動等に特段の変化はありませんでした。
湯釜火口内の北壁等では引き続き熱活動がみられていることから、山頂火口から概ね500mの範囲では、火山灰の噴出等に警戒してください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺の窪地や谷などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。
上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。