平成20(2008)年 No.17 火山の概況 (平成20年4月18日 〜 平成20年4月24日)
いずれの火山も予報警報事項に変更はない。24日現在の火口周辺警報、噴火警報及び噴火予報等の発表状況は以下のとおり。
図1 火口周辺警報及び噴火警報発表中の火山の噴火警戒レベル等の状況(24日現在)
○火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)
- 桜島
○火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)
- 三宅島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島
○火口周辺警報(火口周辺危険)
- 硫黄島
○噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報
- 福徳岡ノ場
○噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)
- 樽前山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢、新燃岳)、口永良部島
○噴火予報(平常)
- 上記以外の火山
【各火山の活動状況及び予報警報事項】
三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
21日に行った現地調査では、二酸化硫黄放出量は一日あたり1,000〜2,000トン(前回15日、1,300〜1,900トン)と依然として多量の火山ガス放出が続いている。
三宅島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。また、風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。雨による泥流にも注意が必要である。
硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]
国土地理院及び独立行政法人防災科学技術研究所の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、島全体が大きく隆起する地殻変動は現在も継続している。
硫黄島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火がみられていた領域では噴火に対する警戒が必要である。
福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]
海上保安庁、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる変色水が確認されている。
福徳岡ノ場では小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では噴火に対する警戒が必要である。
桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]
昭和火口では、噴火が時々発生した。このうち21日の噴火では噴煙高度が1,500mに達した。
今期間、南岳山頂火口では噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いている。
18日に行った現地調査では、二酸化硫黄の放出量は、一日あたり1,300〜3,000トン(前回8日、1,500〜1,900トン)と多い状態が続いている。
国土地理院のGPS観測によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入によると考えられる長期的な膨張が続いている。
桜島では、活動が活発化するおそれがあるので、南岳山頂火口及び昭和火口から2km程度の範囲で大きな噴石1)及び火砕流に警戒が必要である。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石(火山れき2))に注意が必要である。降雨時には泥流や土石流に注意が必要である。
1)噴石については、大きさによる風の影響の程度の違いによって飛散範囲が大きく異なる。本文中「大きな噴石」とは、「弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、それより小さく風の影響を受ける噴石は、例えば「風の影響を受ける小さな噴石」という表現を用いる。
2)「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられる火山については、付加して表現する。
薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
硫黄岳では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。
諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]
今期間、噴火は観測されなかったが、長期にわたり噴火を繰り返している。
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島では今後も御岳(おたけ)火口から半径約1kmの範囲に大きな噴石1)を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。
上記以外の火山については、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。