2007年 No.30 火山の概況 (平成19年7月20日 〜 平成19年7月26日)

【噴火した火山】

諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
26日に御岳火口から小規模な噴火が発生した。

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
多量の火山ガスの放出が続いている。
硫黄島 [やや活発な状況]
島北部を中心とした島全体の大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
今期間、噴火は観測されなかったが、長期にわたり噴火活動が継続している。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震はやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。

【静穏な状況であるがデータに変化があった火山】

伊豆大島 [静穏な状況(レベル1)
20〜21日に島の西部から西方海域を震源とする地震が一時的に増加した。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 樽前山 [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
 なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 伊豆大島 [静穏な状況](レベル1)]

 20日17時15分に、島の西方海域でマグニチュード1)4.4(暫定値)の地震が発生し、震源に近い伊豆大島町岡田及び元町で最大震度3を観測した。その後、21日までの間、島の西部から西方海域にかけて地震が増加し、震源に近い伊豆大島町岡田や元町で震度1以上を観測した地震は35回(上記震度3を含む)であった。
 これらの地震活動に伴って、体積歪ひずみ計2)や傾斜計3)には火山活動に起因すると考えられる変化は認められず、噴気の状態等、表面現象にも異常は観測されていない。火山活動は静穏な状況が続いている。
 なお、島の西部から西方海域にかけては、これまでも時々地震の増加がみられており、最近では6月上旬にも発生している。

     1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
     2)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されることがある。
     3)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されることがある。
  


● 三宅島 [やや活発な状況]

 24日及び26日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたりそれぞれ2,200〜2,500トン、2,300〜3,500トン(前回5日、一日あたり1,200〜2,000トン)と依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
 噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
 なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
 


● 硫黄島 [やや活発な状況]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、2006年8月に始まった島北部を中心とした島全体の大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながらも継続しており、島内の地震活動は回数がやや多いものの落ち着いた状況で推移している。
 硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。


● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 今期間、昭和火口及び南岳山頂火口からの噴火は観測されなかった。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いている。
 24日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり400〜800トン(前回7月19日 400〜500トン)で、今年5月に始まった昭和火口の噴火以前の状態に戻っている。
 国土地理院のGPS観測によると、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張傾向が続いている。
 桜島では長期にわたり噴火活動が継続しており、昭和火口及び南岳山頂火口から半径2km以内では注意が必要である。


● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、硫黄岳山頂火口周辺では注意が必要である。
 なお、硫黄岳いおうだけ山頂火口からの噴煙高度は火口縁上概ね50mで推移した。


● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
 なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。


▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)

 十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によると、26日に御岳おたけ火口で小規模な噴火が発生した。また、22日には火山性微動が一時的にやや増加した。
 諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火を繰り返すなど火山活動は活発な状態が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。





表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

 ※ 火山情報発表状況
 今期間、火山情報の発表はありませんでした。

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