2007年 No.24 火山の概況 (平成19年6月8日 〜 平成19年6月14日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
【静穏な状況であるがデータに変化があった火山】
- ◇ 倶多楽 [静穏な状況]
- 9〜10日に大正地獄でごく小規模な泥混じりの熱湯の噴出があった。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。
◇ 倶多楽 [静穏な状況]
大正地獄たいしょうじごくでは、5月20日以降、泥混じりの熱湯の噴出がみられていなかったが、登別市によると、9日から10日にかけて再びごく小規模な泥混じりの熱湯の噴出が間欠的にみられた。
地震活動は低調な状態が続き、火山性微動も観測されず、倶多楽の火山活動は静穏な状況が続いている。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移し、火山性地震はやや多い状態が続いている。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、2006年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながらも継続しており、島内の地震活動は2006年末より低下し、回数はやや多いものの落ち着いた状況で推移している。
硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
昭和火口では、引き続き噴煙高度が火口上1,000mを超える小規模な噴火が時々発生したほか、ごく小規模な噴火が断続的に発生した。13日から14日にかけて、東よりの風の影響で鹿児島地方気象台(南岳山頂から西南西に約11km)でごく少量の降灰を観測した。
今年5月からの昭和火口の噴火は、昭和火口の南端付近の噴出口から発生していたが、11日に海上自衛隊の協力により行った上空からの観測では、2006年の噴火とほぼ同じ場所にも噴出口が確認され、噴火が発生していた。
今期間、高感度カメラ1)では火映2)は観測されなかった。
南岳山頂火口の噴火は観測されなかった。
火山性地震や火山性微動はやや少ない状態が続いている。
国土地理院のGPS観測によると、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張傾向が続いている。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
1)国土交通省九州地方整備局大隅河川国道事務所が昭和火口の東約3kmに設置。
2)火山ガスや上昇した溶岩により火口内が高温になった場合に、火口上の雲や噴煙が明るく照らされる現象。

図2 桜島 昭和火口の噴出口の様子(左:2007年6月11日 右:2007年5月24日)
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、硫黄岳山頂火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によると、12日に御岳おたけ火口で小規模な噴火が発生し、集落(御岳の南南西約4km)で降灰が確認された。
12日に、噴火に伴う火山性連続微動が観測されたほか、火山性地震や火山性微動が一時的にやや多くなった。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。