2007年 No.19 火山の概況 (平成19年5月4日 〜 平成19年5月10日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
- ● 御嶽山 [やや活発な状況]
- 火山活動はやや活発な状況が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 硫黄島 [やや活発な状況]
- 大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
- ● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動はやや活発で、火山性地震はやや多い状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
【静穏な状況であるがデータに変化があった火山】
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
樽前山の火山活動はやや活発な状況で経過しており、火口周辺では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。
◇ 倶多楽 [静穏な状況]
7日、9日、10日に行った現地調査及び登別市の報告によると、大正地獄で3日(前期間)から続いている泥混じりの熱湯の噴出は、4日午後以降間歇的となり、噴出の高さも次第に低下する傾向が見られている。湯温は引き続き97℃程度であった。
地獄谷や大湯沼等の熱活動や地震活動の状況に特段の変化はなく、倶多楽の火山活動は静穏な状況が続いている。
● 御嶽山 [やや活発な状況]
火山性微動は4月5日以降観測されていなかったが、振幅の小さなものが5日及び6日にそれぞれ1回観測された。御嶽山の火山活動は現在もやや活発な状態が続いていると考えられ、山頂付近では注意が必要である。
火山性地震は少ない状態が続いている。
三岳黒沢みたけくろさわの遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では、ごく少量の噴気が時々観測された。
GPSによる地殻変動観測では、御嶽山の地下の膨張を示すわずかな伸びの変化は、収まりつつあるように見える。
◇ 伊豆大島 [静穏な状況(レベル1)]
6日に、島北部の伊豆大島町岡田で震度1を観測した地震が3回発生した。震源はいずれも島北部の浅い所で、最大の地震は6日05時21分に発生したマグニチュード1.11)(暫定値)であった。これらの地震の前後で三原山周辺及び島北部の浅い所を震源とする振幅の小さな地震がやや増加したが、6日19時以降は少ない状況に戻っている。その他の観測データに特段の変化はなく、火山活動は静穏な状況が続いている。
1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
10日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり1,300〜2,000t(前回4月20日、一日あたり1,200〜2,300t)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながら継続している。
硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口からの噴火は発生しなかった。昭和火口でも、噴火は発生しなかったが、弱い噴気が時々観測された。
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。国土地理院のGPS観測によると、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張傾向が続いている。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
8日に御岳おたけ火口で爆発的噴火が3回発生した。このほか、十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によれば7日〜9日にも小規模な噴火が発生した。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。
なお、火山性地震及び火山性微動は7日にやや多くなったが、その他の日は少ない状態で経過した。