2007年 No.11 火山の概況 (平成19年3月16日 〜 平成19年3月22日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
- ● 御嶽山 [やや活発な状況]
- 火山性微動が発生しているほか、火山性地震はやや多く、山頂で弱い噴気が観測された。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
- ● 硫黄島 [やや活発な状況]
- 大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 御嶽山 [やや活発な状況]
振幅の小さい火山性微動が断続的に発生しており(今期間13回、前期間15回)、火山性地震も依然としてやや多い状態が続いている。
三岳黒沢の遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では、では、16日昼ごろから夜にかけて、少量の噴気が観測された。遠望カメラで噴気が観測されたのは、2003年9月22日以来のことである。16日午後に長野県が行った上空からの調査で、この噴気は地獄谷上部からのものであることが確認された。翌17日に気象庁が行った上空からの観測(長野県の協力による)では噴気量は減少していた。その後、遠望カメラでは、21日夕方にも一時的にごく少量の噴気が観測された。
気象庁のGPSによる地殻変動観測では、昨年12月から見られている御嶽山の地下の膨張を示すわずかな伸びの変化は、2月中旬頃から鈍化傾向が認められているが、現在も継続している。
御嶽山の火山活動はやや活発な状況が続いており、山頂付近では注意が必要である。
● 三宅島 [やや活発な状況]
22日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり、1,900t(前回3月14日、一日あたり2,200〜5,800t)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながら継続している。
硫黄島では火山活動がやや活発な状況となっており、従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島北部の元山地域を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
20日に南岳山頂火口で小規模な噴火が発生し、噴煙高度は2,700mに達した。このほか、ごく小規模な噴火も時々発生した。昭和火口からの噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動観測では、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張傾向が続いている。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
17日に御岳おたけ火口で爆発的噴火が2回発生したほか、十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によれば18日から20日と22日には、噴煙が火口縁上500〜800mに達する小規模な噴火が発生した。また、集落(御岳の南南西約4km)では17日から20日に少量の降灰が確認された。
20日に火山性連続微動が観測されたほか、火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。