2007年 No.6 火山の概況 (平成19年2月2日 〜 平成19年2月8日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 62-2火口の熱活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
- ● 御嶽山 [やや活発な状況]
- 火山性微動が断続的に発生し、火山性地震もやや多い状態が続いている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 硫黄島 [やや活発な状況]
- 大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながらも継続している。
- ● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
- 1日(前期間)に火山活動によるとみられる変色水が確認された。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]←5日に静穏な状況(レベル1)から引き上げ
- 振幅のやや大きな火山性微動が発生し、火山活動はやや活発な状況になっている。
- ● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では、昨年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられているが、長期にわたり熱活動はやや活発な状態が続いている。今期間、悪天のため噴煙の状況は確認できなかった。
火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
十勝岳の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 御嶽山 [やや活発な状況]
振幅の小さい火山性微動は断続的に発生している(今期間18回、前期間19回)。火山性地震も依然としてやや多い状態が続いている。
気象庁及び国土地理院のGPSによる地殻変動観測では、昨年12月以降、御嶽山の地下での膨張を示すと考えられるわずかな伸びの変化が認められている。
御嶽山では火山活動がやや活発な状況となっており、山頂付近では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では噴気などの表面現象に特に異常は見られず、6日に上空から行った観測(岐阜県の協力による)でも、地獄谷付近に従来からの噴気が確認された程度で、特段の変化は認められなかった。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
6日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり900〜1,800t(前回1月31日、一日あたり1,500〜3,100t)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、今期間、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら今期間も継続している。
硫黄島では火山活動がやや活発な状況となっており、従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島北部の元山地域を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
1日(前期間)に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる南南東方向へ帯状に延びる乳白色の変色水が確認された。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]←5日に静穏な状況(レベル1)から引き上げ
昨年12月下旬から振幅の小さな火山性微動が時折観測されていたが、5日に振幅のやや大きな継続時間の短い火山性微動が発生した。
御鉢の火山活動はやや活発な状況になっており、火口付近では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(御鉢火口の南西約5kmに設置)では火口縁を超える噴気は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口及び昭和火口からの噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
火山性地震はやや多い状態が続いている。また、火山性微動が時々観測された。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では6日に新岳火口周辺で高さ10m程度の弱い噴気が認められた。地殻変動に特段の変化はなかった。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
5日から7日にかけて爆発的噴火が5回発生した。
噴火活動の活発化に対応して、火山性地震はやや多い状態で経過し、火山性微動が時々発生した。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状態が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
御 嶽 山 | 火山観測情報第4号 |
2月2日 14:00 |
1月29日から2月2日13時の活動状況。火山性微動が発生しているほか、火山性地震はやや多い状態が続いている。 | 火山観測情報第5号 |
2月5日 16:00 |
2月2日から2月5日15時の活動状況。火山性微動が発生しているほか、火山性地震はやや多い状態が続いている。 | ||
火山観測情報第6号 |
2月8日 14:00 |
2月5日から2月8日13時の活動状況。火山性微動が発生しているほか、火山性地震はやや多い状態が続いている。地殻変動観測では、地下での膨張を示すと考えられるわずかな変化が認められている。 | |
三 宅 島 | 火山観測情報第5号 |
2月2日 16:30 |
最近の火山活動評価。1月26日〜2月2日16時の活動状況。31日に行った火山ガス観測の結果。 |
霧島山 | 火山観測情報第2号 |
2月5日 13:40 |
御鉢では、昨年12月下旬から、振幅の小さな火山性微動が時折観測されていたが、5日に継続時間の短い振幅のやや大きな火山性微動が発生し、火山活動はやや活発な状況になった。レベルは2 |