2007年 No.4 火山の概況 (平成19年1月19日 〜 平成19年1月25日)
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 62-2火口の熱活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
- ● 御嶽山 [やや活発な状況]←19日に静穏な状況から引き上げ
- 火山性地震はやや多く、火山性微動が時々観測されている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 硫黄島 [やや活発な状況]
- 大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながらも継続している。
- ● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
- 19日に変色水が確認された。
- ● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
- ● 諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)]
- 今期間、噴火は発生しなかったが、長期にわたり噴火活動は活発な状態が続いている。
- ◇ 箱根山 [静穏な状況]
- 21日に有感地震が発生した。
【静穏な状況であるがデータに変化があった火山】
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
??????等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では、昨年(2006年)1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態が続いている。今期間の噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 御嶽山 [やや活発な状況]←19日に静穏な状況から引き上げ
期間中、振幅の小さな火山性微動が3回観測された。このうち、25日のものは他に比べ振幅がやや大きく、一時的な地震増加を伴ったが、遠望カメラ(剣ヶ峰の南東約14kmに設置)では噴気などの表面現象に特に異常はみられなかった。火山性地震は、依然としてやや多い状態が続いている。
御嶽山では火山活動がやや活発な状況となっており、山頂付近では注意が必要である。
なお、地殻変動観測には特段の変化はなく、23日に上空から行った観測(長野県の協力による)でも、地獄谷付近に従来からの弱い噴気が確認された程度で、地表面温度分布等に特段の変化は認められなかった。
◇ 箱根山 [静穏な状況]
21日20時55分に駒ヶ岳付近の浅い所を震源とするマグニチュード1)2.3の地震が発生し、箱根町湯本で震度1を観測した。その後、地震増加はみられず、地震活動は静穏に経過した。
1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜400mで推移した。
25日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり3,300〜3,800t(前回1月12日、1日あたり1,900〜2,900t)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、昨年(2006年)8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら今期間も継続している。消長を繰り返しながらやや活発な状態となっていた島内の地震活動は、1月に入りかなり低下している。
従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島北部の元山地域を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
19日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に火山活動によるとみられる、北西方向に延びる長さ約1,500m、幅約500mの黄緑色の変色水が確認された。なお、付近に浮遊物は認められなかった。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口及び昭和火口からの噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
火山性地震はやや多い状態が続いている。また、火山性微動が時々観測された。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では新岳火口周辺の噴気等は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
長期にわたり噴火を繰り返すなど、火山活動は活発な状態が続いている。
今期間、噴火は観測されず、火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。