2006年 No.51 火山の概況 (平成18年12月15日 〜 平成18年12月21日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では、今年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
19日に東京消防庁の協力により行った上空からの観測では、山頂火口内の状況には大きな変化は見られなかった。火口内の最高温度1)は約110℃で、依然として高温状態が継続していた。
火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
1) 赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
● 霧島山(新燃岳) [やや活発な状況(レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。監視カメラ(火口の南約7kmに設置)による観測では火口縁を超える噴気は観測されなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口では、ごく小規模な噴火が時々発生した。
昭和火口では噴火は発生しなかったが、噴気が時々観測された。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態で経過した。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
火山性地震はやや多い状態で経過した。20日09時45分に島内の浅い所を震源とするマグニチュード2)1.6の地震が発生した。鹿児島中央警察署硫黄島駐在所によると、この地震により身体に感じる揺れがあった。この地震発生時の噴煙の状況は雲のため確認できなかったが、空振は観測されず、また、21日の噴煙の状況に特段の変化はなかった。火山性微動は少ない状態で経過した。
2)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態で経過した。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、噴気は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
20日に爆発的噴火があったほか、十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、16日と19日に小規模な噴火が時々発生した。19日には集落(御岳の南南西約4km)で降灰があった。噴火に伴い、19日から20日にかけて火山性連続微動が発生した。火山性地震は16日と18日にやや多く発生したが、その他の日は概ね少ない状態で経過した。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
三 宅 島 | 火山観測情報 第349〜355号 (1日1回発表) |
12月15日〜19日,21日 16:30 12月20日 16:40 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。19日に実施した火口観測の結果。 |