2006年 No.48 火山の概況 (平成18年11月24日 〜 平成18年11月30日)

【噴火した火山】

桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
26日に南岳山頂火口で爆発的噴火が発生した。 

【活発もしくはやや活発な状況の火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
長期的には噴火活動の活発な状態が続いているが、今期間噴火は発生しなかった。

【静穏な状況であるが、観測データ等に変化のあった火山】

伊豆東部火山群 [静穏な状況]
24日に震度3を観測する地震が発生した。



図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山
図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活発もしくはやや活発な状況の火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口では、今年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上概ね100〜200mで推移した。
 火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
 噴煙活動及び地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。


◇ 伊豆東部火山群  [静穏な状況]

 24日03時35分に伊東市大崎沖の深さ約7kmを震源とするマグニチュード1)4.3の地震が発生し、熱海市網代などで震度3を観測した。その後も、身体に感じない微小な地震活動は続いたが、09時以降には落ち着いた状態に戻った。
 気象庁の体積歪計2)や防災科学技術研究所の傾斜計3)等による地殻変動観測では、今回の地震に関連する特段の変化はみられなかった。
 この付近では、過去に深部へのマグマ注入により地殻変動を伴う地震活動がしばしばみられているが、今回の地震活動は地殻変動を伴っていないことから、火山活動によるものではないと考えられる。

1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
2)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがある。
3)地面の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがある。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 期間中、火山性地震の回数は多い状態が続き、29日13時00分には空振4)を伴う低周波地震5)が発生し、三宅村神着で震度1を観測した。地震発生時の噴煙状況には特段の変化はなく、地震発生後の現地調査でも降灰は確認されなかった。低周波地震発生後、火山性地震の回数は減少した。
 噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
 29日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,600〜2,000トン/日(前回10月26日1,400〜2,300トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。

4)噴火などで発生した空気の急激な圧力変化が大気中を周囲に伝わる現象。
5)周期の長い波を特徴とした地震。三宅島では、低周波地震が発生した場合には、山頂火口から火山灰噴出を伴うことがある。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]

 南岳山頂火口では26日に爆発的噴火が発生したほか、24日にごく小規模な噴火が発生した。
 昭和火口では噴火は発生しなかったが、弱い噴気が時々確認された。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態で経過し、時折振幅の大きなものも認められた。地殻変動に特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されなかった。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震及び火山性微動は増減を繰り返しながらやや多い状態が続いており、26日には火山性微動が一時的に増加した。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、25日及び30日に新岳火口付近に弱い噴気が認められた。


●諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 長期にわたり噴火を繰り返すなど、火山活動は活発な状態が続いているが、今期間は噴火は観測されなかった。火山性地震及び火山性微動は26日にやや多く発生したが、その他の日は概ね少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
三 宅 島 火山観測情報
第328〜334号
(1日1回発表)
11月24日〜28日,30日
16:30
11月29日
16:40
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。29日に実施した火山ガス観測の結果。
口永良部島 火山観測情報
第3号
11月27日
16:00
火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。


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