2006年 No.47 火山の概況 (平成18年11月17日 〜 平成18年11月23日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
【静穏な状況であるが、観測データ等に変化のあった火山】
- ◇ 箱根山 [静穏な状況]
- 18日から19日にかけて地震がやや増加した。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では、今年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上概ね100〜200mで推移した。
火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
◇ 箱根山 [静穏な状況]
18日から19日にかけて駒ケ岳付近の浅いところを震源とする地震がやや増加した。最大の地震は18日04時35分に発生したマグニチュード1)2.5で、この地震を含め箱根町湯本で震度1を観測する地震が3回発生した。
神奈川県温泉地学研究所の傾斜計2)等による地殻変動観測では、今回の地震活動に関連した変化は認められなかった。
箱根山では、9月下旬から10月中旬にかけて同様な地震活動があった。
1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
2)火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により、山体が膨張・収縮した場合に変化が観測されることがある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
17日に海上保安庁の協力により行った上空からの観測では、火口内の最高温度は約280℃で、依然として高温状態が継続していた。
火山性地震の回数はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
21日に第三管区海上保安本部が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に火山活動によるとみられる、北西方向に延びる長さ約3,000m、幅約400mのコバルトブルーの変色水が確認された。なお、付近に浮遊物等は認められなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口では22日に爆発的噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火が時々発生した。
昭和火口では噴火は発生しなかったが、19日に弱い噴気が確認された。
火山性地震及び火山性微動はやや少ない状態で経過したが、時折振幅の大きなものが認められた。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
火山性地震はやや多く、ごく小規模な火山性微動が発生した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動が増減を繰り返しながらやや多い状態が続いている。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、火口縁を超える噴気は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島村役場諏訪之瀬島出張所によれば、17日に小規模な噴火が発生した。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
三 宅 島 | 火山観測情報 第321〜327号 (1日1回発表) |
11月17日〜23日 16:30 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。17日に海上保安庁の協力を得て行った火口観測の結果。 |