2006年 No.46 火山の概況 (平成18年11月10日 〜 平成18年11月16日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
【静穏な状況であるが、観測データ等に変化のあった火山】
- ◇ 伊豆東部火山群 [静穏な状況]
- 10日から11日にかけて伊豆半島東方沖の川奈崎付近で地震がやや増加した。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では、今年1月以降、噴煙活動及び火口温度に低下傾向がみられるものの、依然として熱活動はやや活発な状態にあり、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
火山性地震は少ない状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
◇ 伊豆東部火山群 [静穏な状況]
10日から11日にかけて伊豆半島東方沖の川奈崎付近、深さ7〜12km付近を震源とする微小な地震がやや増加した。最大地震は10日17時52分に発生したマグニチュード1)1.5で、この地震を含め震度1以上を観測した地震はなかった。
地震の増加に前後して、東伊豆町に設置している体積歪(ひずみ)計2)にわずかな縮みの変化がみられた。火山性微動及び低周波地震は観測されなかった。
この付近では過去にもしばしば地震活動が活発化しているが、今回の活動は規模の小さなものであった。
1)マグニチュードは地震の規模を示す。資料中のマグニチュードは暫定値で、後日変更することがある。
2)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等で変化が観測されることがある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
火山性地震の回数はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
15日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に火山活動によるとみられる変色水が確認された。変色水は西方向に延びる長さ約2,000m、幅約50mの黄緑色のものであった。なお、付近に浮遊物等は認められなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口ではごく小規模な噴火が時々発生した。
昭和火口では噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動はやや少ない状態で経過した。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
火山性地震はやや多く、ごく小規模な火山性微動が発生した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動が増減を繰り返しながらやや多い状態が続いている。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では、10日に新岳火口付近に弱い噴気が認められた。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島村役場諏訪之瀬島出張所によれば、16日に小規模な噴火が発生した。噴火に伴い、16日に断続的に火山性連続微動が発生した。火山性地震は少ない状態で経過した。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
三 宅 島 | 火山観測情報 第314〜320号 (1日1回発表) |
11月10日〜13日,15日〜16日 16:30 11月14日 17:05 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。 |
雲 仙 岳 | 火山観測情報第2号 | 11月10日 13:00 |
平成新山南側斜面の発光現象や白煙は見られなくなった。また、火山ガスの噴出や噴気孔と見られるものは確認されていない。雲仙岳の火山活動は、静穏な状態が続いている。 |