2006年 No.41 火山の概況 (平成18年10月6日 〜 平成18年10月12日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】
【その他の記事を掲載した火山】
- ◇ 箱根山 [静穏な状況]
- 7日から地震がややまとまって発生している。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では依然として高温の状態が続いていると推定される。同火口からの噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100mで推移した。
火山性地震は少ない状態が続いており、火山性微動は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 樽前山 [やや活発な状況]
10日に実施した観測では、A火口の最高温度は約520℃1)(前回9月17日約490℃1))であり、火口内の熱的な状態に変化はなく依然として高温の状態が続いていた。
噴煙活動は低調な状態が続いている。火山性地震は少ない状態が続いており、火山性微動は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
1)赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
◇ 箱根山 [静穏な状況]
7日から駒ケ岳付近と大涌谷付近の浅いところを震源とする地震がややまとまって発生している。最大の地震は11日16時09分に発生したM(マグニチュード)1.7(暫定値)で、箱根町湯本で震度1を観測した。箱根町役場によると震源に近い箱根町強羅や箱根町宮ノ下では身体に感じる揺れがあったもようである。
12日に神奈川県温泉地学研究所が行った調査によると、噴気などの表面現象に特段の異常は認められなかった。気象庁の体積歪(ひずみ)計2)による地殻変動観測では特段の変化はなかった。
箱根山では、9月27〜28日と10月2日〜3日にも駒ケ岳付近の浅い所を震源とする地震がややまとまって発生した。
2)センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等で変化が観測されることがある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜300mで推移した。
11日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり2,800〜3,700トン(前回9月28日2,100〜3,600トン/日)と、依然として多量の火山ガスの放出が続いている。
火山性地震はやや多い状態でが続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口では7日と8日に爆発的噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火が時々発生した。
昭和火口では噴火は発生せず、噴気も観測されなかった。
火山性地震及び火山性微動はともに振幅の大きなものが発生している。地殻変動観測に特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上300mであった。
火山性地震はやや多い状態が続いている。9日にごく小規模な火山性微動が1回発生した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震はやや多く、6日〜7日にかけてごく小規模な火山性微動が2回発生した。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
6日に爆発的噴火があったほか、小規模な噴火が時々発生した。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、6日〜8日と11日〜12日に火山灰を含む噴煙が確認され、7日と11日には集落(御岳の南南西約4km)で降灰が認められた。
火山性地震及び火山性微動は7日にやや多く発生したが、そのほかは概ね少ない状態で経過した。
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

火 山 名 | 情報の種類及び号数 | 発表日時 | 概 要 |
---|---|---|---|
三 宅 島 | 火山観測情報 第279〜285号 (1日1回発表) |
6日〜12日 16:30 |
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。11日に実施した火山ガス観測の結果 |