2006年 No.34 火山の概況 (平成18年8月18日 〜 平成18年8月24日)

【噴火が観測された火山】

三宅島 [やや活発な状況]
23日04時28分頃、ごく小規模な噴火が発生し山麓で微量の降灰があった。
桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]←18日に活発な火山活動(レベル3)から引き下げ
南岳山頂火口で22日、23日に小規模な噴火が発生した。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口では高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震のやや多い状態が続いている。
諏訪ノ瀬島 [活発な状況(レベル3)
今期間噴火は発生しなかったが、長期的には噴火活動が活発な状態が続いている。

【その他の記事を掲載した火山】

雌阿寒岳 [静穏な状況]←25日(期間外)にやや活発な状況から引き下げ
雌阿寒岳の火山活動は静穏な状態になっている。

図1  活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山


注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルである。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山
 ◇:静穏な状態であるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。

● 雌阿寒岳[静穏な状況]←25日(期間外)にやや活発な状況から引き下げ

 3 月21 日にごく小規模な噴火が発生した雌阿寒岳の火山活動はやや活発な状態で推移していたが、最近はポンマチネシリ山頂の赤沼06火口群や北西斜面06噴気孔列の噴煙活動は静穏に経過している。
 地震活動も低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では5月下旬に増設した観測点を含めて変化をみてきたが、特段の変化は認められなかった。
 以上のとおり、雌阿寒岳の火山活動は静穏な状態になっている。


● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上おおむね100mで推移した。噴煙の活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
 地震活動は低調な状態が続いている。GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
 地震活動は低調な状態が続いている。傾斜計及びGPSによるによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。今期間、山麓に設置した高感度カメラ1)では火映は観測されなかった。
 火山性地震の回数は1日あたり4〜10回と少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。


▲ 三宅島  [やや活発な状況]

 23日04時28分頃にごく小規模な噴火が発生し、山麓で微量の降灰があった。
 22日11時頃から23日05時頃にかけて火口直下を震源とするやや低周波の地震が増加し、23日04時〜05時の間に空振を伴う振幅のやや大きな低周波地震2)が4回発生した。04時28分頃ごく小規模な噴火が発生し、灰色の噴煙が火口縁上500mまで上がり、南東に流れるのを観測した。午前中に行った現地調査で、山頂火口の東〜南約3kmの範囲で微量の降灰が確認された。噴火が観測されたのは2006年2月17日のごく小規模な噴火以来である。
その後、23日22時過ぎに再び火口直下を震源とするやや低周波の地震が増加し、22時38分には空振を伴う振幅のやや大きな低周波地震が発生した。この地震により、三宅村神着で震度1を観測した。地震発生時の噴煙の状況は確認できなかったが、24日午前中に行った現地調査では降灰は確認されず、その他の観測データにも特段の変化はなかった。
 期間中、噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上400〜500mで推移した。
 今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化はみられないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
22日に上空から行った観測3)では、火口内の最高温度4)は約90℃で(前回4月18日:約140℃)長期的には低下傾向が続いている。  GPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。

2) 三宅島では、空振を伴う低周波地震が発生した時に山頂火口から火山灰噴出を伴うことがある。
3) 東京消防庁の協力による。
4) 赤外熱映像装置による。赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]←18日に活発な火山活動(レベル3)より引き下げ

 昭和火口では6月4日に噴火が始まり、6月20日まで小規模な噴火を繰り返していたが、6月21日以降噴火は観測されていない。南岳山頂火口では、従来同様、小規模な噴火を繰り返している。
 地殻変動観測では、桜島直下への大規模なマグマの移動を示す地殻変動は認められていない。
 これらのことから、桜島の火山活動は小規模な噴火が時折発生する程度の比較的静穏な状態になったと判断し、18日に火山活動度レベルを3(活発な火山活動)から2(比較的静穏な噴火活動)に引き下げた。
 今期間、南岳山頂火口では22日、23日に噴煙高度が火口縁上1,100mに達する噴火が発生したほか、ごく小規模な噴火も時々発生した。
 火山性地震はやや少ない状態で経過した。火山性微動はやや多い状態が続いている。GPSなどによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は最高で火口縁上800mであった。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。19日、20日にごく小規模な火山性微動が2回観測された。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続いている。19日にごく小規模な火山性微動が2回観測された。監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


● 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 時々噴火が発生するなど噴火活動は活発な状態にあるが、今期間、噴火は観測されなかった。
 火山性地震および火山性微動は少ない状態で経過した。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル

表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第33号 18日16:00 11日〜18日15時の活動状況。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第230〜236号
(1日1回発表)
18日〜21日
16:30
22日16:40
23日〜24日
16:55
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。23日及び24日の地震の増加、23日早朝の噴火の状況及び降灰調査の結果。
桜島 火山観測情報第30号 18日15:30
火山活動は小規模な噴火が時折発生する程度の比較的静穏な状態になったと判断し、桜島の火山活動度レベルを3から2に引き下げた。定期的な発表は本号をもって終了。レベルは2


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