2006年 No.7 火山の概況 (平成18年2月10日 〜 平成18年2月16日)

【噴火が観測された火山】

諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
6日(前期間)から多く発生していた爆発的噴火は10日には少なくなり、今期間の爆発的噴火の回数は10日に1回、15日に2回であった。

【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。14日に振幅の小さな火山性微動が観測された。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震のやや多い状態が続いている。噴煙活動は引き続きやや活発で、火山ガスの放出量もやや多い状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
多量の火山ガスの放出が続いている。
霧島山(新燃岳) [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震がやや多く観測された。
霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)
火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。15日に振幅の大きな火山性微動が観測された。
桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
 ◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
 その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態である火山。◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化があった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山。

● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、同火口の熱活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
 14日22時52分頃から継続時間約1分の振幅の小さな火山性微動が観測された。微動発生時の噴煙の状況は天候不良のため不明であった。地震活動や地殻変動に特段の変化はなかった。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱活動に大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震はやや多い状態が続き、1日あたり36〜89回で経過した。火山性微動は11日及び12日に各1回観測された。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなかった。
 山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。今期間は天候不良であったこともあり、火映は観測されなかった。
 10日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり700〜1,700トンとやや多い状態であった(前回1月30日1600〜2,800トン)。
 10日に上空から行った観測1)では、火口底の地形に大きな変化はなく、火口周辺への新たな噴出物は認められなかった。赤外熱映像装置2)による観測では、火口内の温度分布は前回調査(2005年10月20日)と比べて高温領域が縮小し、最高温度も約300℃と前回(約460℃)よりやや低下するなど、熱活動に低下傾向がみられたものの、火口内は依然として高温状態にあることが確認された。

1) 長野県防災ヘリの協力により、気象庁と東京大学地震研究所が共同で実施。

2) 赤外熱映像装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
 13日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,300〜2,400トンと、依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回2月8日2,400〜3,700トン)。
 火山性地震は振幅の小さいものがやや多く発生しているが(1日あたりの回数は10〜77回)、噴煙及びその他の観測データに特段の変化はなかった。火山性微動は観測されなかった。


● 霧島山(新燃岳)  [やや活発な状況 (レベル2)

 11〜14日に火山性地震がやや多く発生し12日には36回観測された。火山性微動は観測されなかった。傾斜計及びGPSによる地殻変動観測では特段の変化はなく、監視カメラ(火口の南約7kmに設置)による観測でも火口縁を超える噴気は観測されなかった。

● 霧島山(御鉢)  [やや活発な状況 (レベル2)

 15日17時01分に振幅の大きな火山性微動が観測された。継続時間は1分未満の短いものであった。監視カメラ(御鉢火口の南西約5kmに設置)による観測では天候不良のため噴気の状況は不明であった。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。御鉢付近で振幅の大きな火山性微動が観測されたのは2004年11月21日以来である。今期間は、この他に、振幅の小さな火山性微動が14日及び15日にそれぞれ3回観測された。
 御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。13日に火口縁上50mの高さの噴気が観測された。


● 桜島  [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]

 比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった(前期間は爆発的噴火を1回観測)。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間39回、前期間46回)。火山性微動は少ない状態で経過した。期間中、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


▲ 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 6日(前期間)から続いていた爆発的噴火(以下、爆発)の多い状態は10日に入って少なくなり、10日の爆発回数は1回であった(前期間の6日〜9日の爆発回数は1日あたり20〜62回)。噴火は10日午後まで続き、監視カメラ(御岳の北北東約25kmの中之島に設置)により灰白色の噴煙が14時頃まで観測された。噴煙の最高は火口縁上600mであった。断続的に観測されていた火山性微動も10日未明には収まった。
 その後、噴火活動はやや低調であったが、13日に再び噴火が発生し、監視カメラにより灰白色の噴煙が火口縁上400mまで上がるのが観測された。
 また、15日以降噴火活動が高まり、15日に爆発を2回観測し、16日には火口縁上500mまで上がる灰白色の噴煙が観測された。15日には火山性地震が一時的に増加し、15日06時頃から振幅のやや大きな火山性微動が連続的に観測されている。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第6号 10日16:00 2月3日〜10日15時の活動状況。10日の火山ガス観測結果及び上空からの観測結果。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第41〜47号
(1日1回発表)
10日〜16日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。
霧 島 山 火山観測情報第4号 13日15:00 2月6日〜13日14時の新燃岳の火山性地震及び火山性微動の状況。レベルは新燃岳、御鉢共に2。
諏訪之瀬島 火山観測情報第2号 10日15:30 爆発的噴火は10日に入り、少なくなっている。レベルは3。


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