2006年 No.3 火山の概況 (平成18年1月13日 〜 平成18年1月19日)
【噴火が観測された火山】
【活動が活発もしくはやや活発な状態である火山】
- ● 十勝岳 [やや活発な状況]
- 噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
- ● 浅間山 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。火山性地震及び火山性微動がやや多く発生した。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 多量の火山ガスの放出が続いている。
- ● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
- 13日に変色水が確認された。
- ● 阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)→静穏な状況(レベル1)(期間外)]
- 噴火の可能性が低くなったため、1月20日(期間外)にレベルを1(静穏な火山活動)に引き下げた。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
- ● 桜 島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。
注2 記号の意味
▲:噴火が観測された火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状態にある火山
◇:静穏な状態にあるが観測データに変化のあった火山、もしくはその他の記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
注3 記事は、▲、●(注2参照)に該当する火山について掲載する。
その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。
【各火山の活動解説】
● 十勝岳 [やや活発な状況]
62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。
● 樽前山 [やや活発な状況]
今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。
● 浅間山 [やや活発な状況 (レベル2)]
山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。期間中、火映は観測されなかった。
火山性地震は1日あたり35〜71回とやや多い状態であった。火山性微動は17日に一時的に11回と増加したが、その他の観測データに特段の変化はみられなかった。その他の日は0〜2回で経過した。
16日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は、1日あたり900〜2,000トンとやや多い状態であった(前回2005年12月15日300〜400トン)。
● 三宅島 [やや活発な状況]
山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。
17日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は、1日あたり1,600〜2,600トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回1月11日2,300〜3,400トン)。
火山性地震は少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。
● 福徳岡ノ場 [やや活発な状況]
13日に海上自衛隊が上空から行った観測によると、福徳岡ノ場付近で火山活動によると考えられる変色水が確認された。変色水は福徳岡ノ場から南西に長さ約3,000m、幅約400mで延びる緑色のものであった。
● 阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)→静穏な状況 (レベル1)(期間外)] (期間外の記述を含む)
中岳第一火口では、昨年11月中旬以降、湯だまりの状況に変化がなく熱活動は低調な状態が続いている。また、火山性連続微動も12月中旬まで振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されていたが、その後は振幅のやや小さい状態が続いている。以上から、噴火の可能性は低くなり、火山活動は静穏な状態になったと判断され、1月20日(期間外)にレベルを2(やや活発な火山活動)から1(静穏な火山活動)に引き下げた。
なお、17日に行った現地観測でも火口内の湯だまり1)の状況に特段の変化はなく、期間中、その他の観測データにも特段の変化はなかった。
1)湯だまり:活動静穏期の中岳第一火口内には、地下水などを起源とする約50〜60℃の緑色のお湯がたまっており、これを湯だまりと呼んでいる。火山活動が活発化するにつれ、湯だまり温度が上昇・噴湯して湯量の減少がみられ、その過程で土砂を噴き上げる土砂噴出現象等が起こり始めることが知られている。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況 (レベル2)]
御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。18日及び19日に火口縁上100mの高さの噴気が観測された。
火山性微動が18日に1回、19日に2回観測されたが、いずれも振幅の小さな継続時間の短いものであった。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]
比較的静穏な噴火活動が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった(前期間もなし)。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震及び火山性微動は少ない状態で経過した。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている(今期間38回、前期間28回)。火山性微動は観測されなかった。期間中、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
17〜19日に噴火が発生し、爆発的噴火が17日に2回、18日に3回、19日に1回観測された。十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、17日に火山灰を含む噴煙が火口縁上700mまで上がっているのが確認された。17日夜に集落(御岳の南南西約4km)で降灰があった。