2005年 No.52 火山の概況 (平成17年12月23日 〜 平成17年12月29日)

【噴火が観測された火山】

桜 島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)
ごく小規模な噴火は観測されたが、爆発的噴火等は観測されなかった。

(*:桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。)


【活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山】

十勝岳 [やや活発な状況]
噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
浅間山 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動の活発な状態が続いている。
三宅島 [やや活発な状況]
多量の火山ガスの放出が続いている。
阿蘇山 [やや活発な状況(レベル2)
火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)
火口縁を超える噴気が時折観測されており、火山活動はやや活発な状態が続いている。
薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)
噴煙活動のやや活発な状態が続いている。
口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)
火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
諏訪之瀬島 [活発な状況(レベル3)
火山活動は活発な状態にあり、噴火の発生頻度も高い状態が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


注1 本資料において、レベルは火山活動度レベルを示す。

注2 記号の意味
 ▲:噴火が観測された火山
 ●:活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山
 ◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
 ◇:その他記事を掲載した火山
 □:記事を掲載していないレベル対象火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注3 記事は、▲、●及び◆(注2参照)に該当する火山について掲載する。
   その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。



【各火山の活動解説】

 各記号の意味は次のとおり。▲:噴火が観測された火山。●:活動が活発もしくはやや活発な状態にあるか、観測データ等に変化があった火山。◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山。◇:その他記事を掲載した火山。

● 十勝岳  [やや活発な状況]

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね300mで推移した。噴煙活動に特に変化はみられていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、高温の状態が続いていると推定される。


● 樽前山  [やや活発な状況]

 今期間、A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化はみられていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はなく、依然として高温の状態が続いていると推定される。


● 浅間山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。今期間は天候不良の日が多かったこともあり、山麓の高感度カメラ1)で火映は観測されなかった。
 火山性地震は1日あたり4〜17回とやや少ない状態であった。火山性微動は25日に1回観測された。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。


● 三宅島  [やや活発な状況]

 山頂火口からは白色噴煙がほぼ連続して噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
 26日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり3,700〜5,800トンと依然として多量の火山ガスの放出が続いている(前回19日3,800〜6,200トン)。
 火山性地震は23日及び26日に一時的に増加したが(日回数はそれぞれに52回及び58回)、噴煙及びその他の観測データに特段の変化はなかった。その他の日は少ない状態で経過した。火山性微動は観測されなかった。


● 阿蘇山  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性連続微動の振幅のやや大きくなる状態が繰り返し観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。
 今期間、火山性連続微動の振幅はやや小さい状態で経過した。
 孤立型微動及び火山性地震の発生状況には大きな変化はなく、噴煙活動、地殻変動等その他の観測データにも特段の変化はなかった。
 今期間は天候不良により現地観測を行っていないため、中岳第一火口内の状況は不明であった。


● 霧島山(御鉢)  [やや活発な状況 (レベル2)

 御鉢火口では火口縁を超える噴気が時折観測されるなど、火山活動はやや活発な状態が続いている。今期間は、火口縁を超える噴気は観測されず、その他の観測データも特段の変化はなかった。


▲ 桜島  [比較的静穏な噴火活動 (レベル2)]

 期間中、ごく小規模な噴火は観測されたが、爆発的噴火等2)は観測されなかった(前期間は噴火が観測されなかった)。噴火に伴い観測された噴煙の最高は25日の火口縁上500m(灰白色)であった。期間中、鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)で降灰は観測されなかった。地震活動及び地殻変動には特段の変化はなかった。

2) 桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発的噴火もしくは一定の規模以上の噴火を桜島の噴火の回数として計数している。


● 薩摩硫黄島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 噴煙活動は依然としてやや活発で、白色噴煙が硫黄岳火口から連続的に噴出しており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した(最高は29日の600m)。火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。


● 口永良部島  [やや活発な状況 (レベル2)]

 火山性地震は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 京都大学防災研究所の観測によると、期間中、地震活動に特段の変化はみられなかった。
 また、監視カメラ(新岳の北西約4kmに設置)による観測では噴気等は認められなかった。


● 諏訪之瀬島  [活発な状況 (レベル3)

 火山活動は活発な状態にあり、噴火の発生頻度も高い状態が続いているが、今期間、噴火は観測されなかった。火山性地震は少ない状態で経過し、火山性微動は観測されなかった。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル
表1 最近1か月に記事を掲載した火山及び各火山のレベル



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第203号 28日16:00 22日〜28日15時までの活動状況。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報
第602〜608号
(1日1回発表)
23日〜29日
16:30
前日16時〜当日16時の活動状況及び上空の風の予想。
阿 蘇 山 火山観測情報第59号 28日11:00 やや活発な火山活動が継続(連続微動は振幅のやや大きくなる状態を繰り返している)。レベルは2。


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