2005年 No.28 火山の概況 (平成17年7月7日〜平成17年7月13日)

【噴火した火山】

桜 島
期間中、爆発的噴火が3回観測された。火山活動度レベルは2(以下、レベルと記載)。

【活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山】

十勝岳
噴煙活動が活発で、62-2火口の高温状態が続いていると推定される。
樽前山
噴煙の状況に変化はなく、A火口及びB噴気孔群の高温状態が続いていると推定される。
浅間山
活発な噴煙活動、微弱な火映の発生、火山性地震及び微動のやや多い状態が続いている。レベルは2。
三宅島
多量の火山ガスの放出が継続している。
阿蘇山
中岳第一火口内では、熱的な活動のやや活発な状態が続いている。レベルは2。
霧島山(御鉢)
活動のやや活発な状態が続いている。レベルは2。
薩摩硫黄島
活動のやや活発な状態が続いている。レベルは2。
口永良部島
火山性地震及び微動がやや多く発生した。レベルは2。
諏訪之瀬島
活動の活発な状態が続いている。レベルは3。


図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)
図1  各火山の今期間の火山活動度レベル及び記事を掲載した火山(火山名に下線)


注1 記号の意味
 ▲:噴火した火山
 ●:活動が活発な状態にあるか、もしくは観測データ等に変化があった火山
 ◆:前期間まで▲や●で掲載し、その後の状況等を掲載した火山
 ◇:その他記事を掲載した火山
 □:記事を掲載していないレベル対象火山
 ①②等の丸付き数字:火山活動度レベル

注2 記事は、▲、●及び◆(注1参照)に該当する火山について掲載する。
   その他の火山については、特記事項のある場合に掲載する。

注3 各火山の活動解説の[噴煙・噴気・地震・微動・空振・地殻変動・熱・火山ガス等]は、
   主な火山現象もしくは変化があった観測データ項目を示す。



【各火山の活動解説】

十勝岳 [噴煙・熱・微動] (やや活発な状況)

 62-2火口の噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙の高さは火口縁上概ね200mで推移した。噴煙活動に特に変化は見られていないことから、同火口の熱的な活動にも大きな変化はないと考えられ、高温の状態が続いていると推定される。
 7日05時10分頃から継続時間約1分の振幅の小さな微動が観測された(前号に期間外の活動として掲載)。地震活動や地殻変動に特段の変化はなかった。6月28日に発生した微動に比べ規模は小さかった。


樽前山 [熱] (やや活発な状況)

 A火口及びB噴気孔群の噴煙の状況に特に変化は見られていないことから、これらの火口の熱的な活動にも大きな変化はないと考えられ、引き続き高温の状態が続いていると推定される。


浅間山 [噴煙・火映・地震・微動] (やや活発な状況 【レベル2】

 山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、噴煙高度は最高で火口縁上300mであった。また、微弱な火映が9日と13日を除く毎日、山麓の高感度カメラ1)で観測された。
 火山性地震及び火山性微動の回数はやや多い状態が続いており、期間中それぞれ1日あたり20〜47回、1〜6回であった。

1) 気象庁及び国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所が設置。


三宅島 [火山ガス・噴煙] (やや活発な状況)

 12日に上空から行った観測2)では、山頂火口内の状況は雲のため確認できなかった。火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたりに換算して2,500〜5,900トン(前回は6月7日2,500〜4,300トン)で、依然として多量の火山ガスの放出が継続している。また、三宅村の火山ガス濃度観測でも、山麓で時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
 期間中の火山性地震の回数は少なく、1日あたり1〜21回であった。火山性微動は観測されなかった。山頂火口からは白色噴煙が連続して噴出しており、最高で火口縁上300mまで上がった。

2) 海上自衛隊の協力による。


阿蘇山 [熱・土砂噴出・微動・地震] (やや活発な状況 【レベル2】) (期間外の記述を含む)

 期間中、中岳第一火口内の湯だまり量や温度、土砂噴出等の状況は、天候不良により現地観測が行えなかったため不明であったが、15日(期間外)に行った現地観測では、火口内の状況に大きな変化はなかった。湯だまり量は引き続き約4割で、湯だまりの表面温度は72℃3)と依然高い状態であった。湯だまり内では、引き続き高さ1〜5m程度の土砂噴出が観測された。
 火山性連続微動は期間を通して継続し、振幅に大きな変化はなかった。孤立型微動及び火山性地震の発生回数には大きな変化はなかった(孤立型微動の発生回数は今期間688回、前期間604回、火山性地震は今期間129回、前期間141回)。
 噴煙活動、地殻変動等その他の観測データには特段の変化はなかった。

3) 赤外放射温度計による。赤外放射温度計は物体が放射する赤外線を感知して温度を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。


霧島山(御鉢) (やや活発な状況 【レベル2】

 火山活動はやや活発な状態が続いている。今期間は、天候不良のため、監視カメラ4)では御鉢火口の噴気は確認できなかった。地震活動は静穏で、その他の観測データにも特に変化はなかった。

4) 御鉢火口の南西約5kmに設置。


桜島 [爆発・微動] (比較的静穏な噴火活動 【レベル2】

 今期間、爆発的噴火(以下、爆発)が、8日、10日及び11日に計3回観測された(前期間はなし)。爆発が観測されたのは6月7日以来であった。爆発時の噴煙等の状況は天候不良のため不明であった。鹿児島地方気象台(南岳の西南西約11km)では、降灰は観測されなかった。
 7〜9日に火山性微動が増加し、継続時間の短いものが1日あたり7〜10回、継続時間が1時間を超えるものも7日に2回、9日に1回観測された。地震活動及び地殻変動には特に変化はなかった。


薩摩硫黄島 (やや活発な状況 【レベル2】

 火山活動はやや活発な状態が続いている。今期間は地震活動、噴煙活動等は低調であった。


口永良部島 [地震・微動] (やや活発な状況 【レベル2】

 火山性地震及び微動が増加し、やや多い状態で経過した。期間中、火山性地震が48回(前期間は25回)、火山性微動は継続時間の短いものが44回(前期間は9回)観測された。


諏訪之瀬島 [微動・地震] (活発な状況 【レベル3】

 火山活動は活発な状態が続いている。今期間は、噴火は観測されなかった。火山性微動の活動は、前期間に引き続き振幅のやや大きなものが7日朝まで断続的に観測された。火山性地震の発生回数は前期間より少なく、期間中の回数は35回であった(前期間は152回)。




表1 最近1か月に記事を掲載した火山(上)及び各火山のレベル(下)
表1(上) 最近1か月に記事を掲載した火山

表1(下) 最近1か月の各火山のレベル



表2 火山情報発表状況
火 山 名 情報の種類及び号数 発表日時 概 要
浅 間 山 火山観測情報第178号 8日16:00 7月1日〜7月8日15時の活動状況(上空からの観測結果、噴煙量、地震及び微動やや多い、微弱な火映を時々観測)。レベルは2。
三 宅 島 火山観測情報第373号
↓(1日2回発表)
火山観測情報第386号
7日09:30

13日16:30
前日15時〜当日09時もしくは当日09〜15時の活動状況、及び上空の風の予想。
阿 蘇 山 火山観測情報第34号 8日11:15 やや活発な火山活動が継続(降水により湯だまり量増加、連続微動の振幅やや大きくなる)。レベルは2。


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