2008年 No.11 火山の概況 (平成20年3月7日 〜 平成20年3月13日)

 いずれの火山も予報警報事項に変更はない。現在の各火山の噴火警報及び噴火予報の発表状況は以下のとおりである。

図1  噴火警報の火山
図1  火口周辺警報及び噴火警報発表中の火山


○火口周辺警報

 噴火警戒レベル2、火口周辺規制  :桜島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島
 火口周辺危険           :三宅島、硫黄島

○噴火警報(周辺海域)

 周辺海域警戒           :福徳岡ノ場
 

○噴火予報

 噴火警戒レベル1、平常      :樽前山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、浅間山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢、新燃岳)、口永良部島
 平常               :上記以外の火山


※噴火警戒レベルは地域防災計画等でその活用が定められている火山に導入している(現在、噴火警戒レベルが導入されている火山は16火山である)。




【各火山の活動状況及び予報警報事項】


三宅島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 今期間、火山ガス放出量の観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
 三宅島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。また、風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。雨による泥流にも注意が必要である。
 


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、島全体が大きく隆起する地殻変動は鈍化したものの現在も継続している。
 硫黄島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火がみられていた領域では噴火に対する警戒が必要である。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる変色水が確認されている。
 福徳岡ノ場では小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では噴火に対する警戒が必要である。


阿蘇山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)]

 7日19時頃に中岳第一火口南側火口壁で、阿蘇火山博物館の火口カメラにより、火山ガスが燃焼する火炎現象が確認されたが、中岳第一火口の湯だまりの湯量や表面温度、また地震などの観測データに特段の変化はない。その後、火炎現象は観測されていない。
 阿蘇山では火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候はみられない。ただし、火口内では噴気や火山ガスの噴出が見られることから、火口内及びその付近では火山灰噴出等に警戒が必要である。また、火口周辺では火山ガスに対する注意が必要である。
 阿蘇山は噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)が継続している。

桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 11日に南岳山頂火口でごく小規模な噴火が発生した。昭和火口では噴火は発生しなかった。
 火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いている。
 7日及び13日に行った現地調査では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり400〜900トン(前回2月15日、400〜900トン)と、2月3日の昭和火口の噴火以前の状態で経過している。
 国土地理院のGPS観測によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入によると考えられる長期的な膨張が続いている。
 桜島では、南岳山頂火口及び昭和火口の周辺に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの火口周辺では噴火に伴う大きな噴石の飛散に警戒が必要である。風下側では降灰及び火山れき(小さな噴石)に注意する必要がある。降雨時には泥流や土石流に注意が必要である。

薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 硫黄岳火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) ]

 今期間、噴火は観測されなかったが、長期にわたり噴火を繰り返している。
 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 諏訪之瀬島では今後も御岳火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。



 上記以外の火山については、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。

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