2008年 No.3 火山の概況 (平成20年1月11日 〜 平成20年1月17日)

 いずれの火山も予報警報事項に変更はない。現在の各火山の噴火警報及び噴火予報の発表状況は以下のとおりである。

図1  噴火警報の火山
図1  噴火警報発表中の火山


○火口周辺警報

 噴火警戒レベル2、火口周辺規制  :桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島
 火口周辺危険           :三宅島、硫黄島

○噴火警報(周辺海域)

 噴火警報(周辺海域警戒)     :福徳岡ノ場
 

○噴火予報

 噴火予報(噴火警戒レベル1、平常):樽前山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、浅間山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢、新燃岳)
 噴火予報(平常)         :上記以外の火山


※噴火警戒レベルは地域防災計画等でその活用が定められている火山に導入している(現在、噴火警戒レベルが導入されている火山は16火山である)。




【各火山の活動状況及び予報警報事項】


雌阿寒岳 [噴火予報(平常)]

 9日夜から10日(前期間)にかけて体に感じない小さな火山性地震が多発した。11日に入り地震回数は減少したが、地震多発前の状態には戻っておらず、依然やや多い状態が続いている。
 今回の活動は、2006年3月のごく小規模な噴火に先行した活動に比べると、地震の振幅は小さく、火山性微動も観測されていない。また、噴煙の状況や地殻変動にも変化はない。
 現在のところ、雌阿寒岳では、火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候はみられていない。雌阿寒岳の状態は噴火予報(平常)である。
 


図2 雌阿寒岳 火山性地震時別回数(11日12時現在)
図2 雌阿寒岳 火山性地震の時別回数(2008年1月9日〜17日)


三宅島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 噴煙高度は火口縁上200〜300mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 今期間、火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されている。
 三宅島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では噴火等に対する警戒が必要である。また、風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。雨による泥流にも注意が必要である。
 


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、島全体が大きく隆起する地殻変動は鈍化したものの現在も継続している。
 硫黄島では火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火がみられていた領域では警戒が必要である。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)]

 海上保安庁、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測では、福徳岡ノ場付近の海面に、火山活動によるとみられる変色水が確認されている。
 福徳岡ノ場では小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では警戒が必要である。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 14日及び15日に南岳山頂火口でごく小規模な噴火が発生した。
 火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 国土地理院のGPS観測によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入によると考えられる長期的な膨張が続いている。
 桜島では今後も南岳山頂火口及び昭和火口の周辺に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。


薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島では硫黄岳山頂火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。


口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 口永良部島では新岳(しんだけ)火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) ]

 今期間、噴火は観測されなかったが、長期にわたり噴火を繰り返している。
 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 諏訪之瀬島では今後も御岳火口から半径約1kmの範囲に噴石を飛散させる程度の小規模な噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では噴火に対する警戒が必要である。



 上記以外の火山については、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候はみられない。

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