火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第84号
令和4年9月16日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 9月12日から16日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南
岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な
火砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 南岳山頂火口では、噴火が9回発生し、このうち8回が爆発でした。噴煙
は最高で火口縁上1600mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大き
な噴石が最大で5合目(南岳山頂火口より1000mから1300m)まで
達しました。
 また、同火口では夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 12日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日
あたり2400トン(前回8月30日、2500トン)と、多い状態でした
。
 
 火山性地震は概ね少ない状態で経過していますが、昨日(15日)はやや
多い状態となりました。噴火に伴う火山性微動が発生しました。
 
 GNSS連続観測では、昨年(2021年)10月頃から、姶良カルデラ
(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びがみられていましたが
、3月頃から停滞しています。
 
 広域のGNSS連続観測によると、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下
深部にマグマが長期にわたり蓄積した状態と考えられ、火山ガス(二酸化硫
黄)の放出量も概ね多い状態で経過していることから、現在、噴火活動がみ
られている南岳山頂火口を中心に、今後も噴火活動が継続すると考えられま
す。今後の火山情報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震  爆発
  9月12日        5回  0回
    13日        7回  0回
    14日       31回  4回
    15日       78回  3回
    16日15時まで  11回  1回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、19日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。