火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第70号
令和4年7月29日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 7月25日から29日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南
岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な
火砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 南岳山頂火口では、噴火が22回発生し、このうち5回が爆発でした。噴
煙は最高で火口縁上2200mまで上がり、雲に入りました。弾道を描いて
飛散する大きな噴石が最大で6合目(南岳山頂火口より800mから110
0m)まで達しました。
 また、同火口では、期間を通して夜間に高感度の監視カメラで火映を観測
しました。
 
 25日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日
あたり2100トン(前回7月22日、1900トン)と、多い状態でした
。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。噴火に伴う火山性微動が発生
しました。
 
 桜島島内に設置している傾斜計及び伸縮計で、7月18日09時頃から観
測されているわずかな山体膨張は、20日15時以降概ね停滞しています。
 
 GNSS連続観測では、昨年(2021年)10月頃から、姶良カルデラ
(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びが認められていました
が、3月頃から停滞しています。
 
 桜島では、火山活動が活発化する傾向は認められませんが、現在も噴火活
動が継続していることから、南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範
囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒して
ください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、回数は速報値であり
、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震  爆発
  7月25日        5回  2回
    26日        8回  0回
    27日        4回  2回
    28日        8回  1回
    29日15時まで  18回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、8月1日(月)16時頃に発表の予
定です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。