火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第84号
令和3年9月20日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 9月17日から20日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。桜
島では、山体膨張を示すわずかな地殻変動が引き続き観測されており、南岳
山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火
砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、13日03時頃から山体膨張を示すわずかな地殻変動が引き続
き観測されています。この山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生す
ると、2018年6月16日の南岳山頂火口における噴火のように、多量の
降灰及び小規模な火砕流を伴う可能性があります。また、やや規模の大きな
爆発が発生し、火口から1kmを超えて大きな噴石が飛散する可能性もあり
ます。
 
 南岳山頂火口では、昨日(19日)16時17分に噴火が発生し、噴煙が
火口縁上1000mまで上がりましたが、山体膨張は解消されていません。
 また、同火口では、本日(20日)の夜間に高感度の監視カメラで火映を
観測しました。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動が時々発生しまし
た。
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張
を示す基線の伸びは、2021年6月頃から停滞しています。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は2020年9
月下旬以降概ね多い状態が続いています。南岳山頂火口を中心に、再び活発
化するおそれがありますので、今後の火山情報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、回数は速報値であり
、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震  爆発
   9月17日        5回  0回
     18日       19回  0回
     19日        3回  0回
     20日15時まで   3回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、22日(水)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。