火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第111号
令和2年11月20日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 11月16日から20日15時までの桜島の活動概況をお知らせします。
南岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模
な火砕流を伴う噴火が引き続き発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、噴火活動が続いています。
 南岳山頂火口では、噴火が2回発生し、このうち1回が爆発でした。噴煙
は最高で火口縁上1600mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大き
な噴石は確認されていません。
 また、同火口では、期間を通して夜間に高感度の監視カメラで火映を観測
しました。
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、18日の現地調査では1日あたり2
000トン(前回9日、2200トン)と多い状態でした。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。ごく小規模な噴火に伴う火山
性微動が発生しました。
 
 島内に設置している傾斜計及び伸縮計による地殻変動観測では、特段の変
化は認められていません。
 
 GNSS連続観測では、2019年9月以降、姶良カルデラ(鹿児島湾奥
部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びが認められています。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ供給、蓄
積が継続しており、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が多い状態が続いてい
ることから、南岳山頂火口を中心に噴火活動が継続すると考えられます。今
後の火山情報に注意してください。
 
 火山性地震、火山性微動、爆発の回数は以下のとおりです。なお、回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動  爆発
 11月16日       1回    0回  0回
    17日       1回    0回  0回
    18日       0回    0回  0回
    19日       2回    0回  1回
    20日15時まで  8回    1回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、23日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。