火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第80号
令和2年8月10日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 8月7日から10日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南岳
山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火
砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 南岳山頂火口では、昨日(9日)05時38分に爆発が発生し、多量の噴
煙が火口縁上5000mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大きな噴
石は、雲のため不明でした。その後は、ごく小規模な噴火が時々観測されて
います。
 
 昨日実施した現地調査及び電話による聞き取り調査では、鹿児島市、姶良
市、霧島市、湧水町及び宮崎県と熊本県の一部でこの噴火による降灰を確認
しました。桜島島内で大きな噴石は確認できませんでした。
 
 島内に設置している傾斜計及び伸縮計では、8日21時以降、山体膨張を
示すわずかな地殻変動が観測されていましたが、9日05時38分に発生し
た爆発に伴い概ね解消されました。
 
 7日に桜島の南西側を震源とする火山性地震が増加してやや多い状態とな
りましたが、8日以降は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測さ
れていません。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ供給、蓄
積が継続しており、桜島島内地下へのマグマ供給も続いていることから、南
岳山頂火口を中心に、噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情報
に注意してください。
 
 火山性地震、火山性微動、爆発の回数は以下のとおりです。なお、回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動  爆発
  8月 7日      68回    0回  0回
     8日       3回    0回  0回
     9日       4回    0回  1回
    10日15時まで  1回    0回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。