火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第61号
令和2年6月29日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 6月26日から29日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南
岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な
火砕流を伴う噴火が引き続き発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、昨日(28日)18時07分に南岳山頂火口で爆発が発生し、
噴煙が火口縁上600mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大きな噴
石は5合目(南岳山頂火口より1000mから1300m)まで達しました
。
 
 島内に設置している傾斜計及び伸縮計で26日07時頃から観測されてい
る山体膨張を示すわずかな地殻変動は、昨日の爆発により山体収縮を示すご
くわずかな変化がみられましたが、その後は引き続き膨張傾向となっていま
す。
 
 この山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると、多量の噴煙を
伴った噴火や爆発規模の大きな噴火が発生する可能性があります。今後の情
報に留意してください。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。小さな空振を伴う火山性微動
が時々発生しました。
 
 桜島では、火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量が長期的に多い
状態であることや、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ供
給が継続していることから、今後も噴火活動が継続する可能性があります。
 
 火山性地震、火山性微動、爆発の回数は以下のとおりです。なお、回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動   爆発
  6月26日       8回    2回   0回
    27日       4回    0回   0回
    28日       5回    2回   1回
    29日15時まで  1回    4回   0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、30日(火)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。