火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第85号
平成30年10月26日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 10月22日から10月26日15時までの桜島の活動状況をお知らせし
ます。桜島では、噴火が時々発生する程度で推移していますが、再び活発化
するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 南岳山頂火口では、23日から噴火が7回発生し、噴煙が最高で火口縁上
1600mまで上がりました。噴火が観測されたのは9月24日以来です。
 
 22日に、海上自衛隊第1航空群と九州地方整備局の協力により実施した
上空からの観測では、昭和火口内に留まる程度の噴気を観測しました。昭和
火口周辺や火口底の熱異常域は、これまでの観測と比較して特段の変化は認
められませんでした。南岳山頂火口では、白色の噴煙に覆われて火口内の状
況は確認できませんでした。

 23日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日
あたり1000トン(前回10月17日、400トン)とやや多い状態でし
た。

 火山性地震は少ない状態で経過しています。また、火山性微動が時々発生
しました。
 
 10月22日からの火山性地震、火山性微動、爆発的噴火の回数は以下の
とおりです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することが
あります。
 
            火山性地震 火山性微動 爆発的噴火
 10月22日        2回    0回    0回
    23日        4回   33回    0回
    24日        4回    2回    0回
    25日       11回    5回    0回
    26日15時まで   8回    8回    0回
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部の膨張
を示す基線の伸びは2018年3月頃から停滞していますが、長期にわたり
供給されたマグマが蓄積した状態です。
 
 桜島では、噴火が時々発生する程度で推移していますが、再び活発化する
おそれがあります。

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るため注意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあ
るため注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流
が発生する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、29日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。