火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第78号
平成30年5月18日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 5月14日から5月18日15時までの新燃岳の活動状況をお知らせしま
す。
 新燃岳では活発な火山活動が続いています。
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石、及び新燃岳火口から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してく
ださい。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、14日14時44分に噴火が発生し、16時10分まで継続
しました。多量の噴煙が火口縁上4500mまで上がりました。15日以降
、噴火は観測されていません。
 噴煙は白色で火口縁上200mまで上がりました。
 
 14日に実施した現地調査では、宮崎県都城市の一部で、路面の白線が見
えにくくなる程度のやや多量の降灰を確認し、最大で長径7mmの小さな噴
石(火山れき)も確認しました。また、聞き取りによる調査では、宮崎県都
城市、串間市、日南市、宮崎市、三股町、鹿児島県霧島市、曽於市、志布志
市の、新燃岳の東側から南東側にかけての範囲で降灰がありました。
 15日に韓国岳から実施した現地調査では、火口内を覆う溶岩の中心部及
び縁辺部の一部で白色の噴気が上がっているのを確認し、中心部や東側で温
度の高い領域が認められました。また、新湯温泉付近から実施した現地調査
では、火口西側斜面の割れ目付近で、引き続き噴気と弱い熱異常域を確認し
ました。それ以外の場所では新たな熱異常域は観測されませんでした。
 
 火口直下を震源とする火山性地震は、14日の噴火発生後に急増しました
。15日以降減少してきているものの、多い状態で経過しています。浅い所
を震源とする低周波地震も時々発生しています。また、火口の北東側2.5
km付近を震源とする火山性地震が14日以降やや増加しました。
 14日の噴火に伴う火山性微動が発生しましたが、15日以降、微動は観
測されていません。
 
 5月14日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。な
お、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震       火山性微動
 5月14日      399回(382回)    1回
   15日      140回(139回)    0回
   16日       84回( 67回)    0回
   17日       33回( 32回)    0回
   18日15時まで  20回( 20回)    0回
             ()内は新燃岳火口直下を震源とする地震
 
 高千穂河原観測点の傾斜計では、14日の噴火に伴い新燃岳方向が沈降す
る変動が観測されました。
 
 GNSS連続観測では、霧島山を挟む基線で、3月中旬以降、霧島山の深
い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられています。
 
 新燃岳では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ
るなどのおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体
等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、21日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。