火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第77号
平成30年5月14日17時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 新燃岳では、本日(14日)14時44分に噴火が発生し、16時10分
まで継続しました。
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石、及び新燃岳火口から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してく
ださい。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、本日(14日)14時44分に噴火が発生し、16時10分
まで継続しました。多量の噴煙が最高で火口縁上4500mまで上がり、南
東に流れました。監視カメラによる観測では、大きな噴石の飛散は認められ
ませんでした。

 高千穂河原観測点の傾斜計では、噴火に伴い新燃岳方向が沈降する変動が
観測されました。

 火口直下を震源とする火山性地震は、概ね多い状態で経過しており、噴火
の発生以降、増加しています。また、浅い所を震源とする低周波地震も発生
しています。噴火に伴う火山性微動が発生しました。

 5月2日から3日にかけて増加した新燃岳火口の北側2km付近を震源と
する火山性地震は、4日以降は少ない状態で経過していますが、同火口の北
東側2.5km付近を震源とする火山性地震が時々発生しており、本日はや
や増加しています。
 
 5月11日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。回
数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震       火山性微動
 5月11日       15回 (15回)    0回
   12日       20回 (20回)    0回
   13日       31回 (28回)    0回
   14日16時まで 120回(104回)    1回
             ()内は新燃岳火口直下を震源とする地震
 
 GNSS連続観測では、2017年7月頃から霧島山を挟む基線での伸び
が継続していましたが、3月6日から7日にかけて急激な収縮が観測されま
した。その後、再び伸びに転じています。このことから、霧島山の深い場所
で再びマグマが蓄積されている可能性があります。
 
 新燃岳では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ
るなどのおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体
等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、18日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。