火山名 霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) 火山の状況に関する解説情
報 第43号
平成30年5月11日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>
 5月9日から5月11日15時までの硫黄山の活動状況をお知らせします
。
 硫黄山では活発な火山活動が続いています。
 えびの高原の硫黄山から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて
飛散する大きな噴石に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 硫黄山では、4月27日以降、噴火は観測されていませんが、活発な噴気
活動が続いています。
 硫黄山の南側の火孔付近からは白色の噴煙が最高で400mまで上がりま
した。硫黄山の西側500m付近からは白色の噴煙が最高で300mまで上
がりました。

 9日及び10日にえびの高原から実施した現地調査では、活発な噴気と小
さな噴気音を確認しました。赤外熱映像装置による観測では、硫黄山の西側
及びその周辺で引き続き熱異常域を確認しました。また、硫黄山周辺の沢で
灰色の泥水が引き続き流れていることを確認しました。

 火山性地震は、少ない状態で経過しています。浅い所を震源とする低周波
地震が時々発生しました。火山性微動は観測されていません。
 
 5月9日からの火山性地震(ごく微小な地震を含む)、火山性微動の回数
は以下のとおりです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更す
ることがあります。
 
           火山性地震       火山性微動
  5月 9日       3回 ( 2回)    0回
    10日       1回 ( 0回)    0回
    11日15時まで  2回 ( 2回)    0回
                 ()内はごく微小な地震
 
 GNSS連続観測では、硫黄山近傍に設置したGNSSの基線で、硫黄山
で2018年3月頃から山体の膨張を示す変動がみられていましたが、4月
19日の噴火に伴い更に変動量が大きくなりました。その後、収縮に転じて
います。霧島山を挟む基線では2017年7月頃から基線の伸びが継続して
いましたが、2018年3月6日から7日にかけて急激な収縮が観測されま
した。その後、再び伸びに転じています。このことから、霧島山の深い場所
で再びマグマが蓄積されている可能性があります。
 
 硫黄山では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 えびの高原の硫黄山から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて
飛散する大きな噴石に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。